注⑴ この菩薩立像に関する主な文献は次のとおり。⑶ 各部の法量は次のとおり。(左:黒区像/右:十八夜観世音堂像 の順に表記。単位:cm)黒髪際高(現状) 面長 耳張(現状) 胸奥 臂張(現状) 92.5/130.8 26.1/30.9 12.0/12.2 15.0/16.5 12.9/17.2 16.0/18.077.8/121.611.4/14.415.4/17.014.5/18.135.6/34.7― 497 ―(注8)と同じ印を用いている。従って、その制作は蟠桃院本に遅れて陽徳院の没後、雲居が示寂した万治2年に近い頃と想定される。⑷ 芳澤勝弘・神野恭行編注『大雄山善應寺開山大照智光禅師三百年遠諱記念 通玄和尚語録 訓これまで、2幅の夫妻像はともに現存する肖像彫刻あるいはその原画を写したものとして(注9)、ほぼ同時期の作と考えられる場合が多かったが、賛文まで同じ肖像画がなぜ2幅制作されたのか、その理由も含めて再検討し、肖像彫刻と肖像画の関係を示す好例として改めて評価されるべきものと考える。以上が現段階での報告である。仙台地域では、現存作例は少ないものの古代以来の仏教彫像の伝統が少しずつ確認されてきており、また戦災で失われた像もあるものの、近世では伊達家などで行われた肖像彫刻や肖像画を媒介とする祖先祭祀のあり方も明らかになってきている。今後もこうした視点から基礎調査が進展し、全国的な彫刻史の研究成果と相互に対照できるようになることを願っている。酒井昌一郎「菩薩立像」解説 『特別展 平泉 みちのくの浄土』NHK仙台放送局・NHKプラネット東北,2008年長岡龍作「十八夜観世音堂 菩薩像」『東日本に分布する宗教彫像の基礎的調査研究─古代から中世への変容を軸に 平成18年度〜20年度科学研究費補助金 基盤研究■ 研究成果報告書(課題番号18202003)』(研究代表者 有賀祥■) 東北大学大学院文学研究科東洋・日本美術史研究室,2010年大山幹成・星野安治・鈴木三男「十八夜観世音堂菩薩立像に使用された木材の樹種」『仙台市博物館調査研究報告 第30号』仙台市博物館,2010年酒井昌一郎「〈付論〉十八夜観世音堂菩薩立像の樹種同定結果をうけて」『仙台市博物館調査研究報告 第30号』仙台市博物館,2010年⑵ 久野健「宇佐・天福寺奥院の仏像群」猪川和子「図版解説 宇佐天福寺の仏像」ともに『美術研究』第297号,東京国立文化財研究所,1975年区像は脚部下半を欠くが、当初は髪際高4尺程度であったとみられる。像高(現状) 髻頂−顎 面幅 面奥(現状) 腹奥 腋下張
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