鹿島美術研究 年報第28号別冊(2011)
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期   間:2011年5月6日〜6月30日(56日間)招致研究者:中華人民共和国、同済大学 外国語学院日本学研究所       教授兼所長  蔡   敦 達報 告 者:日本国際文化研究センター 教授  早 川 聞 多このたび平成23年5月6日〜6月30日まで、日本に滞在することにより、同氏の研究に不可欠な日文研にある文献をはじめ、東京大学や京都大学、奈良文化財研究所など他の研究機関・大学所蔵の文献など、日本でしか入手できない文献・資料を収集することができた。とりわけ伊東忠太・関野貞の中国藝術・建築踏査に関する資料調査については、当該調査に関わる文献資料を網羅的に収集することができ、図像やガラス原版の写真との対照調査に大いに役に立ち、基礎調査の土台が固まったといえよう。京都滞在中は、日文研での共同研究会やシンポジウムに出席し、意見交換をした。三聯書店から出版予定の『日本美術の歴史』の中国語版については、上記の文献調査に加え、掲載図版の調査のために、奈良・京都・鎌倉・東京など現地を参観、著者である辻惟雄氏とも直接会って翻訳のためのいろいろなことを伺い、翻訳に際し生じる諸問題について解決でき、正確な翻訳と学術的に意義のある注釈の完成に向けての基盤ができた。さらに今回の訪日では、原出版社である東大出版会の関係者とも中国語訳の出版についても相談を行った。蔡氏は、同済大学の日本学研究所長を務め中華人民共和国での日本美術史研究において重要な役割を担っており、今回の招致研究者交流はもとより、今後の日中における日本美術史研究や教育に大きく寄与するものと期待される。― 607 ―⑷ 外国人研究者招致① 「伊東忠太・関野貞の中国藝術・建築踏査に関する資料調査及び  『日本美術の歴史』注釈等の調査のため」

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