[付記] 実地調査に関しては、自性院・安養院本は八月五日に、早稲田大学文学学術院准教授内田啓一氏、文化庁文化財調査官川瀬由照氏、昭和女子大学歴史文化学科助手古幡昇子氏とともに行った。また龍巌寺本は十一月十四日に、内田啓一氏、北九州市立いのちのたび博物館学芸員古谷優子氏とともに行った。調査の折には、自性院・安養院本に関しては岡山県立博物館学芸員の和田剛氏、龍巌寺本に関しては坊津歴史資料センター輝津館学芸員橋口亘氏に、また図版掲載に関しては、各作品の所蔵者に格別のご高配を賜りました。ここに記して厚く御礼申し上げます。⑹龍巌寺本データ形状:絹本著色(一枚絹)寸法:300.3(描表装除く)×265.1cm絹目:縦32×横40本(1cm四方)調査日:2011年11月14日⑺仏伝図の主題に関しては以下の論考を参照した。緒方知美「鹿児島・龍巌寺所蔵八相涅槃変相図」(科学研究費補助金〈基盤研究B〉『九州における仏教美術の遍在と偏在─中央様式と地方様式の関係を中心に─』研究報告書、1997年3月)⑻「仏教説話の美術」展カタログ(奈良国立博物館、1990年3月)図版解説⑼明恵■『四座講式』(『大正新脩大蔵経』第八四巻 続諸宗部・悉曇部)所収。⑽文化庁HP:http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.aspを参照。⑾「涅槃図の名作」特集陳列カタログ(京都国立博物館、1978年11月)中野玄三『日本の美術』二六八 涅槃図(至文堂、1988年9月)⑿武田和昭「香川・常徳寺の涅槃変相図について─その成立と長福寺・涅槃図との関係を中心として─」(『佛教藝術』第196号、1991年5月)⒀浄土寺本は、中央に単独の涅槃図を描き、その周縁(左右下)に区画を設けて涅槃前後の説話を十六場面描き込むという當麻曼荼羅図を踏襲した形式をとっている。中央の涅槃図は、長福寺本の図像をほぼそのまま用いた作例の中でも最古のものとして注目される。旧軸木には「文永十一年粉河寺僧随覺房生年四十年也七月十日」という銘文があり、制作年代を特定できる貴重な作例である。浄土寺本に関しては以下の論考を参照した。① 渡邉里志「広島・浄土寺に伝わる涅槃変相図の再検討 ─周縁区画の場面解釈を中心に─」(『美術史』141、1996年10月)②渡邉里志「浄土寺蔵仏涅槃図」(『国華』1263、2001年1月)③前掲注⑶― 163 ―
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