におけるルーシーリーの意義○伝統とモダンなスタイルの曾鵬氏の作品と実演の映像で、絵画や原稿を紹介。雲南地方の野焼きDVDの紹介。○中国青磁について、越窯の青磁、宋時代の汝窯、鈞窯、官窯、哥窯、龍泉窯、耀州窯の青磁解説と現代青磁。大学歴代教員と現在の教員、学生の作品の紹介。吉州窯の鉄絵文様−不完全な紋様を復元。○日本染付の流れ(中国−日本−中国)で発展し、また中国に影響を与えたのか。○備前焼考察・窯詰法、焼成法などの発表○西欧食器の技法を活用した日本食器の創造中国・日本では書道、音楽、古典などとの融合の動きがあり、陶磁技法の国家間の交流、伝統陶芸における陶磁技法、現代陶磁産業の装飾デザインなど具体性に富んだ発表であった。具体的な発表が多く、各国の教員や学生にとってはわかりやすく、興味のある発表で質問や反響が多かった。結びイギリスで新石器時代の遺構と土器を見た時、日本と同じだと思った。遠いイギリスと日本の地理的距離を思うとその同一性が不思議だった。翻って考えると、トルコ、ギリシャ、韓国、中国等の博物館の土器は押し並べて同一形態であることが不思議だった。世界的共通項をもった新石器時代の野焼き土器といえる。ところが、陶芸は進歩と発展、分裂の時を経て、様々な様相を呈し始めた。中国殷代の黒陶や唐三彩といった軟質陶器、スペイン、メキシコなど錫釉低火度陶器、東洋の青磁、染付陶磁器、ヨーロッパ、マイセン磁器などの高火度陶器など技法の発展にしたがって分かれ始めた。錫釉陶器から派生した絵画的表現の陶器の発生、中国絵画の影響を受けた明・清時代の陶磁器など、文化・環境によって様々な陶芸に分化し個別化されていった。今後グローバル化がより推進され、情報の共有化、物流革命が進むと、新石器時代のような、別な意味での同一化が起こるのではないかと思う。同一化が進歩であると断定できないが、現状ではより広い情報の共有化が推進されなければならないと思っている。このシンポジウムは26大学の学生、教員の共有化された陶芸知識や問題点など、共通の陶芸理解者が生まれた。また各国の独自性を際立たせた機会ともなった。個人の交流を通じ、お互い知り合い、新たな交流関係が生み出される機会となった点、陶芸の共有化などの波及効果があったと言える。― 509 ―
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