1847年6月、アイルランドで生まれたウェストは、明治15年(1882)年に工部大学校の招聘により機械工学の教師として来日し、明治19年(1886)の帝国大学令により帝国大学工科大学が設置されると、機械工学及び造船学を担当する(注4)。ウェストは機械工学が専門であったが、写真についての知識も豊富であったのだろう。日本の写真術の向上には会の設置が必要だと感じ、「日本写真会」の設立を提唱したのであった。何人にても些少ノ入会金と年費とを出して入会することを許し時々相会合して此術に関係ある新説奇談を集め度も存候貴報の読者諸君中御意見有之向ハ新報宛或ハ直々に小生方へ御報知被下候はヾ幸甚に存候敬白東京帝国大学ニて チャーレス、デイ、ウェストこの文章を書いたチャーレス、デイ、ウェストとは、帝国大学工科大学教授のチャールズ・ディキンソン・ウェスト(Charles Dickinson West)のことである。ウェストは、「プロ、アマを問わず、少しでも写真に関係する人が集まって、それぞれの経験や考えを述べることは、写真術の改良や進歩に有益である。少しの会費を出せば、誰でも加入できるようにすれば、写真を生業にする者同士の人間関係も良くなり、敵対することもなくなる。日本にはこのような会がないため、写真家同士は親密ではなく、これでは写真術の進歩など望めない。よって、私は日本写真会の発足を提案する。私の考えでは、本部を東京に置き、日本人、外国人、プロ、アマを問わず、写真を志す人であれば、少しの入会金と年会費を払えば、誰でも入会することが許されるようにし、時々会合を持って、写真に関する新しく珍しい話を収集したい。写真新報の読者諸君、ご意見があれば新報宛て、あるいは直接私に連絡をくれれば幸甚である。」と述べている。3.「日本写真会」の活動『写真新報』には、「日本写真会」の会合の案内や広告、記事が度々出されており、活動の様子を知ることができる。日本写真会の案内博士シー、デー、ウエスト君が日本写真会創立の勧告書は去る二月発行の本新報に掲載致候ひし處爾来内外の写真専業家並に有志諸君より続々御賛成の趣御申込相成候に就てハ愈来る五月十日午後四時より虎の門内学習院物理学教場に於てそ― 436 ―
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