29.木造四天王立像(滋賀県栗東市・金胎寺) 像高157.6〜158.8cm。ヒノキ材・彫眼。四天王のうち持国天・増長天像のみ現存。永治2〜康治元年(1142)銘。増長天のみ金鎖甲彫出。30.木造十二神将立像(兵庫県淡路市・東山寺) 像高94.2〜103.0cm。ヒノキ材・彫眼。太宰権帥大江匡房の命により承徳2年(1098)に太宰府で大仏師真快らが制作し、康和5年(1103)に石清水八幡宮に奉納されたもの。未・戌・亥神像は着兜。12躯とも金鎖甲彫出。旧石清水八幡宮護国寺旧仏。重要文化財。〔図16〕31.板彫十二神将像(奈良市・興福寺) 88.9〜100.3cm。摩虎羅大将像と伐折羅大32.木造十二神将像(奈良市・東大寺) 95.0〜110.6cm。巳神のみ両手交差。33.木造持国天・増長天立像(奈良県斑鳩町・法隆寺三経院) 像高93.4〜94.5cm。持国天像は頭部を円頂とし、別材製の兜を着ける。2躯とも金鎖甲彫出。重要文化財。34.木造持国天・多聞天立像(大阪府河内長野市・河合寺) 像高122.6〜126.5cm。35.木造毘沙門天像(東京・東京国立博物館) 像高102.5cm。ヒノキ材・玉眼。金鎖甲彫出。応保2年(1162)の年記のある納入品により奈良・中川寺の旧仏であったことがわかる。川端家旧蔵。重要文化財。36.木造毘沙門天像(京都市東山区・清水寺) 像高77.5cm。材質不明・彫眼。金彫眼。多聞天像のみ着兜。4躯とも金鎖甲彫出。重要文化財。将は両手交差。伐折羅は着兜。材質不明・彫眼。2躯とも金鎖甲彫出。重要文化財。鎖甲彫出。重要文化財。二、分布について対象作品を全国的な分布として見たとき、九州所在の作例は26件、九州以外は10件という結果となった。ただし兵庫・東山寺十二神将像(No. 30)は、もと石清水八幡宮護国寺に伝来したもので、太宰権帥大江匡房の命により承徳2年(1098)に太宰府で大仏師真快らが制作し、康和5年(1103)に石清水八幡宮に奉納されたものであることが武笠朗氏によって明らかにされている(注2)。また川端家旧蔵の東京国立博物館毘沙門天像(No. 35)は像内納入品により奈良周辺にあった中川寺の旧仏であったことが知られる(注3)。したがって現状では27件が九州、9件が畿内所縁ということになり、明らかに九州に分布の中心があることがわかる。九州だけで見ると、分布は大分県の宇佐国東とその周辺から日田、そして福岡県の筑後川沿いから太宰府・― 504 ―
元のページ ../index.html#515