鹿島美術研究 年報第30号別冊(2013)
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注⑴ 本報告者の発表題目は「Les sources d’ornement végétal dans les Heures de Marguerite d’Orléans(BnF. ms. lat. 1156B)」。シンポジウムのプログラムはhttp://vegetal.hypotheses.org/167/で参照可能。なお、発表報告集は2013年に刊行予定。siècle, thèse de doctorat nouveau régime, Université Paris X, 2008, 2 vol.carolingiens、ポー城国立美術館のGaston Fébus(1331−1391)がある。 Louvres / Somogy éditions d’art, Paris, 2012.⑵ 当該研究会では「社会と経済」「風景と表象」「科学の歴史」における植物が、各専門領域から如何に考察されているかを提示することが求められており、その成果は今回の明確な主旨に基づいた学際シンポジウムの開催に見事に結実していた。なお当該研究会に関する資料は未公開であるにもかかわらず、シンポジウム主催者のご厚意によって特別に提供して頂いた。記して深甚なる謝意を表します。⑶ La signification et la fonction symbolique de l’ornement végétal dans les livres d’heures bretons au XVe ⑷ 彼女の創作活動についてはhttp://www.sandrinedeborman.be/を参照のこと。⑸ 派遣期間中開催されていた中世写本関連の展覧会として、ヴァランシエンヌの図書館のTrésors ⑹ 展覧会の詳細についてはカタログを参照のこと。Les Belles Heures du duc de Berry, Musée du ⑺ 昨年末にベルギー王立図書館で開催された展覧会とは展示写本が異なるため、両図書館で合計140余りのフランドル彩飾写本が一般に公開されたことになる。この展覧会の開催に伴って、New Perspectives on Flemish Illuminationと題したシンポジウムが昨年11月に開催された他、非常に充実したカタログも刊行された:Miniatures flamandes 1404−1482, Bibliothèque nationale de での活動を終了されるため、フランスやフランス語圏の大学で学位の取得を目指している日本人学生に指導していただける機会をもうけることを現在検討中である(注10)。フランス国立パリ美術学校で絵画を学ばれて以来、40年近くパリで画業に勤しんでおられる蓜島正雄氏には、アトリエでお目にかかった。ノルマンディー地方のヴァスクイユ城で画伯の大回顧展が開催中であったため(注11)、アトリエでは現在制作中のパリの風景画のみ鑑賞させて頂いた。次回の個展は未定とのことだが、数々の賞を受賞され、定期的な個展の開催を実現させながら新たな画題にも取り組まれようとされている画伯の後に、今後多くの日本人画家が続くこと、そして日本においても内外の芸術家が諸般の事情に煩わされること無く活動出来る環境が、国家レベルでつくられていくことを願わずにはおれない。以上、今回の海外派遣では植物を主題とする研究の多様な視座を得、学際的シンポジウムのあり方や可能性を学び、美術史学と諸分野との学術・文化の国際交流を円滑にするための手立てを多数確認した。かかる成果を今後有益な連鎖へとつなげていく予定である。― 582 ―

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