鹿島美術研究 年報第30号別冊(2013)
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進められていくことを説いた氏の講演は、今も脈々と息づいているフランスの人文主義の伝統を教えてくれる、貴重な機会であった。とりわけ若い研究者にとっては、質疑を通して、美術研究の根本に触れる得がたい時間となった。なお、この講演については、フランス語・日本語による『講演録』を、2013年春に刊行する予定である。期   間:2013年1月21日会   場:早稲田大学 大隈小講堂報 告 者:早稲田大学文学学術院 教授  益 田 朋 幸本国際会議は、2012年10月から大阪、国立国際美術館、続いて翌年1月から東京都美術館において開催されたエル・グレコ展「El Greco’s Visual Poetics(エル・グレコ 眼の詩)」にちなみ、また来2014年に没後400年を迎えるのに先駆け、ここ4半世紀の間に急速に研究が進展し、その画家像も大きく変転してきたこのギリシア人画家の最新の姿を、様々な立場の研究者をとおして明らかにするために企画された。当日のプログラムは以下のように行われた。午後1時・趣旨説明「エル・グレコ像の変転と復権」        大 髙 保二郎(早稲田大学)・基調講演「エル・グレコ神話を問う:画家の資料と著述を解読しながら」     “Cuestionando un mito: leyendo documentos y escritos de El Greco”        フェルナンド・マリーアス(マドリード・アウトノマ大学教授)        (スペイン語。逐次通訳付)午後3時20分・研究報告(各20分、質疑応答5分)1.「エル・グレコとビザンティン美術」        益 田 朋 幸(早稲田大学)― 593 ―③ 「エル・グレコ没後400年記念 公開国際シンポジウム   エル・グレコ再考 1541−2014:研究の現状と諸問題」

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