(10)杜甫「行次古城店泛江作不揆鄙拙奉呈江陵幕府諸公」断簡(11)杜甫「丹青引贈曹將軍霸」あるいは「湘江宴餞裴二端公赴道州」断簡― 277 ―(9)杜甫「喜雨」断簡杜甫の詩ではなく、次頁の高適「九月九日酬顏少府」の 線部であることがわかった。これに相当する作品の現存は確認できなかったが、1行2字の体裁で、4行目に本文を1字書き、その下に「即之」と款記を入れ、判読不明(4字)の方印がある。張即之が書いた場合、詩の途中に款記を入れることはあり得ず、真跡に改変を加えているか、或いは偽物の可能性もあろう。江月宗玩も真跡である可能性は半々と記しており、疑いも残るが、張即之の書としてこのような作品が伝来していたことは興味深い。簷前白日應可惜。籬下⿈花為誰有。行子迎霜未授衣。主人得錢始沽酒。蘇秦顦顇人多厭。蔡澤棲遲世看醜。縱使登高只斷腸。不如獨坐空搔首。〔表〕の@2−17 (〔図@2−17〕参照)「昏日」は、新出の立正佼成会蔵の手鑑『筆林』所収の断簡である。杜甫の詩で「昏日」とあるのは「喜雨」1首のみで、以下の杜甫「喜雨」の 線部にあたる可能性が高い。春旱天地昏。日色赤如血。農事都已休。兵戈況騷屑。巴人困軍須。慟哭厚土熱。滄江夜來雨。眞宰罪一雪。穀根小蘇息。沴氣終不滅。何由見寧歲。解我憂思結。崢嶸群山雲。交會未斷絕。安得鞭雷公。滂沱洗吳越〔表〕の@2−18(〔図@2−18〕参照)「常道」は、徳川美術館蔵の手鑑『蓬左』所収の断簡である。杜甫の詩で「常道」とあるのは1首のみで、以下の詩の 線部の可能性がある。「常道」の間に切断の痕があるように見えるが、『徳川黎明会叢書 古筆手鑑篇二』(思文閣出版、1986年)の解説によれば、紙の折れ目という。老年常道路。遲日復山川。白屋花開裏。孤城麥秀邊。濟江元自闊。下水不勞牽。風蝶勤依槳。春鷗懶避船。王門高德業。幕府盛才賢。行色兼多病。蒼茫泛愛前。〔表〕の@2−19(〔図@2−19〕参照)「盛名」は、今回初めて確認された個人蔵の『手鑑』所収の断簡である。杜甫の詩で「盛名」とあるのは2首のみで、以下のいずれかの詩の 線部の可能性がある。「丹青引贈曹將軍霸」については、別に1行3字形式
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