注⑴ 楊暁捷「絵巻の摸写から何を読み取れるか─『後三年合戦絵詞』摸写群を手掛かりに─」『立教大学日本文学』(111)、立教大学文学部、2014年1月、76-86頁。なお、電子公開の諸本へのアクセスなどについては、「「後三年合戦絵詞」摸本書誌」(http://emaki-japan.blogspot.ca/2014/04/blog-post_25.html)をご参照ください。⑵ 小松茂美『続日本絵巻大成15・春日権現験記絵・下』中央公論新社、1982年、91頁。⑶ 亀井森「絵巻はなぜ模写されたのか─国学者長沢伴雄の『春日権現験記』模写一件」『文献⑷ 東京国立博物館が企画した「特別陳列・江戸時代が見た中国絵画」(2013年5月14日-6月16日)⑸ 武田恒夫『狩野派絵画史』吉川弘文館、1995年、236-249頁。⑹ 佐藤康宏「若冲における模写の意義」『東京国立博物館研究誌』 (364)、東京国立博物館、1981⑺ 村岡ゆかり「史料編纂所って何?─絵画史料の模写を通じて知る─」『史料館研究紀要』(12)、大分県立先哲史料館、2007年6月、1-6頁。中野幸一『伴大納言絵巻・冷泉為恭復元模写』、勉誠出版、2011年1月、95-99頁。なお、前出の亀井の論もこの二つの摸写方法についての解説を記述した。⑻ 「後三年軍記」、国立東京博物館蔵(『国書総目録』に「狩野晏川・高島千載摸写四軸)」と記載⑼ 「後三年合戦絵詞」、東北大学付属図書館蔵(電子公開:「東北大学デジタルコレクション」よ⑽ 「後三年役絵巻」、国文学研究資料館蔵。絵師鈴木熹三二尚志による識語に「私に彩色す」など⑾ 「後三年軍記」、大英博物館蔵(電子公開:「Collection online - British Museum」)。⑿ 「後三年合戦絵巻」、東京富士美術館蔵(一部電子公開:「東京富士美術館」)。⒀ 「八幡太郎絵詞」、成城大学図書館蔵(同図書館カタログに「書写者不明、出版年18--」と記載⒁ 「後三年役絵巻」、京都大学付属図書館蔵(電子公開:「京都大学KULINE」)。⒂ 「前九年絵巻物」、国立国会図書館蔵(電子公開:「国立国会図書館デジタル化資料」)。探究』 (46)、文献探究の会、2008年3月、22-35頁。 は摸写にスポットライトを当てて示唆的である。される)。りアクセスする)。摸写の経緯を記す(電子公開:「所蔵和古書・マイクロ/デジタル目録データベース」)。される)。ぶ摸写作品は、その価値が十分に認識されないまま、その多くはいまだ公開されることなく書庫の隅に眠っていて、閲覧なども簡単に適わない。一方では、在来の書籍や美術全集のような印刷手段には限界があるのに対して、目まぐるしく展開される電子メディアの技術が日増しに実用的なものになり、摸写作品の公開、したがって基礎環境の構築にこの上ない可能性が現われてきている。絵巻摸写をしっかりと美術研究の対象に取り入れ、それを積極的に利用して絵巻研究を進化させ、さらに摸写が作製された時代の知や文化の環境を知る良き手がかりとすることを願いたい。年7月、18-34頁。― 29 ―
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