鹿島美術研究 年報第31号別冊(2014)
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「 第6回若手研究者支援国際ワークショップ イメージとテクスト─日本の造形文化【日程】2014年■3月10日 10:00-14:00 Rijksmuseum Volkenkunde, Leidenジヴェルニー、マティスの北アフリカやタヒチなど、モティーフとの連動性がみられた。このセッションでは、今後の作家アーカイヴの調査の必要性が実感できた。しかしながら、今回、より印象的だったのは二日目である。ここでは「視覚のゲームと変容」とあるように、絵はがきの本来の「郵送する」機能は解体され、レディ・メイドな(既成の、大衆的な)イメージを持つ小媒体として、作家がそのまま、もしくは切ったり、貼ったりして自作に転用していった例が報告された。初日のフォーマットが基本的にはがきサイズであったとすると、二日目にはおもに戦前のダダ、シュルレアリストと、イギリスの20世紀後半以降の例が続いて紹介されて興味深かったが、コラージュされた先(支持体)がより大きな紙であったり(ペンローズ)、絵はがきが作品に組み込まれていたり(ピーター・ブレイク、レイチェル・ホワイトリード)、視野が一気に広まった。参加者より、日本では滝口修造にそうした例があるのではないかという示唆を受けた。報告者自身が藤田だけでなく、河原温のメール・アートなど絵はがきをはがきとして使っている作家に限定して考えていたことを反省する機会ともなった。近年の横尾忠則の絵はがきによるインスタレーションを考えたい。今後はシンポジウム報告書の刊行(2015)に向けて、発表者が原稿を用意することになっており、当方も今回の意見交換を踏まえてより進展した内容をまとめていきたい。さらに、すでにふれた国際日本文化研究センターでの研究会などでもシンポジウムの様子を報告していく所存である。期  間:2014年3月9日~3月18日(10日間)会  場:フランス、パリ日本館、オランダ、ライデン民族博物館、  ドイツ、ベルリン・ナショナル・ギャラリー報 告 者:学習院大学 非常勤講師  成 原 有 貴(代表者)― 602 ―②国際シンポジウムにおける古典の再結晶化を巡って─」

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