― 299 ―として美人画ポスターを措定しながら、モダニズム・ポスターが最も効果的なものと構築されてきたことがわかるのである。美人画ポスターは、室内に長期間掲示されることなどを考慮すれば、効果としては高いものがあった。しかしながら、合理的かつ科学的な心理学的知に根ざした広告学とモダニズム・ポスターが重なりあい、近代的な知覚経験が再編されていったのである。美人画ポスターが批判された背景には、広告において幼稚な状態をいち早く抜け出し、成熟した先進国と比肩しうるようになる必要性があったとともに、知覚のあり様を規範化し、欧米では当然と考えられていた合理的かつ科学的な広告の作法に人々を馴致させるという意図があったと考えられるのである。注⑴ 多田北烏「ポスターの効果と技巧」『現代商業美術全集』第2巻、アルス、1928年、38頁⑵ 「美人画ポスターについて」『大正レトロ昭和モダンポスター展─印刷と広告の文化史─』図録、姫路市立美術館、2007年、77頁⑶ 池田木一「日本ポスターの発達経路」『現代商業美術全集』第1巻、アルス、1929年、35頁⑷ 井関十二郎『応用百種生きた広告』実務叢書発行所、1914年、246~247頁⑸ 田島奈都子「近代日本における広告の啓蒙普及機関としての商品陳列所」『メディア史研究』第21号、ゆまに書房、2006年⑹ 内田魯庵「ポスター概説」『大戦ポスター集』、朝日新聞社、1921年、31頁⑺ 中川静「美人画ポスターに就て」『台麓図案会第五回作品展覧会図録 ポスター之部』芸艸堂、1922年、1頁⑻ 「美人ポスター及外国ポスターに対する諸名家の感想集(1)森田佳鳳」『アフィッシュ』創刊号、文雅堂、1927年、16頁⑼ 田野邨温「ポスター漫談 画家として見たるポスター観」『実業界』第34巻第6号、1927年、481頁⑽ 中尾清太郎「広告学上美人の研究」『中央美術』第4巻第3号、1918年、96頁⑾ 織田一磨『広告界』第6巻第2号、1929年、65頁⑿ 中尾清太郎「風景応用の広告画」『中央美術』第2巻第8号、1916年、64頁⒀ 多田北烏「ポスターの効果と技巧」『現代商業美術全集』第2巻、アルス、1928年、38頁⒁ 濱田増治「ポスターの発達段階と各特性」『現代商業美術全集』第1巻、アルス、1929年、30頁⒂ 濱田増治「商業美術総論」『現代商業美術全集』第24巻、アルス、1930年、14~15頁⒃ 濱田増治「商業美術総論」『現代商業美術全集』第24巻、アルス、1930年、18頁⒄ 多田北烏、前述⒅ 関十二郎『応用百種生きた広告』実務叢書発行所、1914年、254~264頁⒆ 菅原教造「刺激としてのポスター」『大戦ポスター集』朝日新聞社、1921年、43頁⒇ 田附與一郎『欧米商業ポスター』日本広告学会出版、1926年、187~188頁� 杉浦非水「ポスターの話」『実業界』第32巻第5号、1925年、437頁
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