― 303 ―連づけつつ考えたい。(1)文化史懇談会の概要まずは文化史懇談会の概要を示したい。そのために分析するのは、同会が発刊した会誌、『文化史懇談会』である。・『文化史懇談会』『文化史懇談会』は、文化史懇談会が刊行した会誌である。同誌は1952年1月発刊の創刊号以来、月刊誌として発行されたが、中断も多く、実質的には不定期的に刊行されていた。国内の研究機関の所蔵状況からは、同誌が少なくとも、59年12月の第43号まで発刊されたことが確認できる(注2)。体裁は、両面印刷のB4版紙1枚を2つ折りにしたB5版で、4頁の構成が多い。ただ一部の号は、B4版紙を2枚以上用いて、5頁以上の構成となっている。同誌の「編集発行人」は号によって変わるものの、吉沢忠、伊藤延男、藤田経世らが務めていたことが確認できる。たとえば52年5月の第5号は、編集発行人が吉沢忠と記されている。しかもこの号の「発行所」としては、吉沢の自宅とみられる横浜の住所が記載されている。ここからは、発行にあたり、研究者の個人的な尽力が大きかったことがうかがわれ、『文化史懇談会』の同人誌的な性格もみてとれる。『文化史懇談会』の誌面は、作品図版の紹介とその解説、月例研究会の発表要旨と、それに関する討論の概要、研究者のエッセイ、翌月の研究会の予告、編集後記を軸として構成されている。さらに号によって、展覧会評や書評、特別な活動の報告などが収載された。このうち作品の図版は、1号に1点が1頁目に掲載されることがほとんどで、絵画・彫刻・工芸・書・建築・新聞挿絵など、ジャンルを問わず、古今東西の作品がとりあげられた。研究会の発表要旨や、研究者たちのエッセイは、文字数は多くないものの、専門的な内容を自由に論じたものが多い。これらのうち、とくに月例研究会の関係記事や、編集後記などからは、文化史懇談会の概要や活動内容を、具体的にたどることができる。以下ではそうした記事をもとに、同会の発会の経緯と、運営の形態をみていきたい。・発会文化史懇談会が発会したのは1950年と思われる。これは1955年の『文化史懇談会』で、田中一松の略歴を紹介する記事に、「(引用者―昭和)二五年に文化史懇談会成立
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