― 337 ―描かれていても脇役である」と記されているように、ジャンルの線引きに明確さを期し難い性格を有するため、本研究では次の3点を満たした作品を「子ども絵」とする。1:日本風俗または唐風俗の子どもの、ある行動を主体としたもの。2:版本・肉筆画・摺物は含めず、一枚絵であるもの。3:母子絵は含めない。⑵ ここで言う「漢」とは、中国より伝わった唐子図像を狩野派らがアレンジした、「和様化された漢」の図様を指す。⑶ 鈴木重三「近世『子ども絵』考序説」『白百合女子大学研究紀要』22、白百合女子大学、1986年、51-52頁。⑷ 鈴木重三「絵本と挿絵本─その浮世絵一枚絵との交渉─」『MUSEUM』403、東京国立博物館、1984年、8頁。注⑶前掲論文。⑸ 子どもの遊びや、その起源については、小林忠監修・中城正堯編著『江戸時代 子ども遊び大事典』(東京堂出版、2014年)に詳しい。⑹ 『寺子短歌』は、江戸の寺子屋の諸相を伝える教訓絵本で、鈴木重三・木村八重子編『近世子どもの絵本集 江戸篇』(岩波書店、1985年)に収録されている。⑺ 絵本からの図様借用の研究は、田辺昌子「鈴木春信の図柄借用─見立の趣向としての再評価」『美術史』127(美術史学会、1990年)や、注⑶前掲論文に詳しい。また、〔一覧〕はこれら諸先学によって指摘されているものに、新たに確認できたものを加え、まとめ直したものである。⑻ 祐信絵本において上方や江戸固有の遊び・行事が描かれた場面は、浮世絵にはほとんど応用されていないことが〔一覧〕から窺える。浮世絵師たちは祐信絵本を応用する際、特定の場所の描写はあまり選択しなかったと言える。⑼ 狩野派の作例としては、「唐子遊図屏風」(18世紀、ボストン美術館蔵)や狩野洞白愛信「四季唐子図巻」(19世紀、ボストン美術館蔵)などがあげられる。他に円山応震「唐子遊図屏風」(19世紀、メトロポリタン美術館蔵)や「年中行事絵巻」(18世紀、公文教育研究会蔵)にも同様の図様が登場し、諸派に及んで描かれている点は興味深い。図版出典 ※図版は以下より転載させて頂きました。図1-1:鈴木敬編『中国絵画総合図録』第3巻、東京大学出版会、1983年図1-2、図3-2、図8-3:『江戸へようこそ!浮世絵に描かれた子どもたち』千葉市美術館、2014年図2-1:金沢美術工芸大学附属図書館絵手本DB http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/tosyokan/edehon/main1.htm図2-2:『写楽 幻の肉筆画』読売新聞東京本社、2009年図2-3:『夢と追憶の江戸 高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展』慶応義塾、2009年図3-1:『狩野派の三百年』東京都江戸東京博物館、1998年図3-3:『泉屋博古 日本絵画』泉屋博古館、2010年図3-4:くもん子ども研究所編『浮世絵に見る江戸の子どもたち』小学館、2000年図4 :上笙一郎編『日本〈子どもの歴史〉叢書 七』久山社、1997年図5 :『日本浮世絵博物館所蔵 浮世絵超名品展』日本浮世絵博物館、2007年図6 :楢崎宗重編著『秘蔵浮世絵大観』4、講談社、1988年図7-1:鈴木重三編『近世日本風俗絵本集成 絵本大和童』臨川書店、1980年図7-2、図8-1: 『ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代─清長、歌麿、写楽』日本経済新聞社、2010年図8-2:くもん子ども研究所編『遊べや遊べ!子ども浮世絵展』NHKプロモーション、2003年
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