― 408 ―な見方を取っている(注21)。このように、モースの陶器コレクションは、19世紀末の日本からの輸出陶器とアメリカにおけるアート・ポタリーが全盛の時代、そして20世紀初頭の優品主義のコレクションが形成された時代、いずれのアメリカにおける日本(東洋)陶磁のメインストリームからも外れてしまった、特殊な存在であった〔表2〕。その結果、国内にモース・コレクションが存在したにもかかわらず、アメリカでは日本の伝統的な陶磁器からの影響はフランスの炻器を介してもたらされることとなり、コレクションと同時代のアメリカの陶芸に対する影響は、ルックウッドなど直接的な交流のあったごく限られた範囲に留まったと考えられる。おわりに今回の研究では、北米に残されたモース・コレクションを調査し、その実像を確認・紹介した上で、日本の日用品を中心とするモースの陶器コレクションが、ルックウッドというアメリカの当時最先端の陶磁器に器形を中心に影響を与えた点を検討した。また、モースの陶器コレクションが同時代のその他のアメリカ陶磁に与えた影響は限定されており、その原因を考える中で、東洋陶磁の受容におけるモース・コレクションの独自性が浮き彫りになった。今後も、その位置づけについてのより詳細な検証と、ホワイト博物館に所蔵される多数のモース・コレクションの全貌の解明につとめたい。本研究の実施にあたり、作品の調査にご協力くださいましたHou-mei Sung氏(シンシナティ美術館)、Anita J. Ellis氏、Kate Dalton氏(元・ウースター美術館)、AnneEwen氏とPam Knott氏(カネディアン・ロッキーズ・ホワイト博物館)、貴重なご助言を賜りました三木美裕氏(国立歴史民俗博物館)、小山周子氏(江戸東京博物館)、尾野善裕氏(奈良文化財研究所)、田中欣二氏(シンシナティ日本研究センター)に厚くお礼を申し上げます。注⑴ボストン美術館、ピーボディ・エセックス博物館、カネディアン・ロッキーズ・ホワイト博物館など。⑵代表的なものにルイーズ・コート、(協力)木下長宏「モースの日本陶器蒐集について」『考古学研究』24巻3・4合併号、考古学研究会、1977年、103-106頁、蜷川親正「モースの日本陶器コレクションと蜷川式胤」『人類学雑誌』87巻3号日本人類学会、1979年、311-330頁、石橋智慧「日本陶器蒐集家としてのモース」『日本の陶磁展─ボストン美術館所蔵モース・コレク
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