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― 439 ―年に刊行された北斎作品集Hokusaiを除き、1950年代から彼の死の3年前に当たる1960年代前半迄に限られている。1 絵画に関する書籍絵画に関する蔵書は浮世絵がその中心である。旧蔵書籍一覧番号⑴、北斎のモノグラフィであるFriedrich Perzynski, Hokusai, Künstler Monographien, Verlag von Vehlagen & Klasing, 1908には、ジャコメッティが模写した《冨嶽三十六景、東海道保土ヶ谷》が収められている。出版年から、その同時期においてジャコメッティに絵画の手ほどきをしたスイスを代表するポスト印象主義画家であった彼の父、ジョヴァンニ・ジャコメッティGiovanni Giacometti (1868-1933)の旧蔵書の可能性が考えられる。1911年、10歳のジャコメッティは、北斎《百人一首乳母が縁説元良親王》を、また制作年は不明だが《詩哥写真鏡(無題)》の模写をしている。北斎のモノグラフィは他に、⑶WINZINGER, Franz, Hokusai, 46 Holzschinitte und Zeichnungen, R. Piper & Co Verlag, 1958. がある。勝川春草のモノグラフィである⑵BOLLER, Willy, Estampes japonaises de Katsukawa Shunsho, Collection Orbis Pictus, Librairie Payot et Cie, Lausanne,(出版年の記載なし。財団は1957年頃と判定)の見開きには、“Pour Alberto de Zozotte, 1er juillet, 1957”の記載があり、Zozotteの愛称を持つアネット夫人からの贈り物であったことがわかる。また、北斎や広重、暁斎、国芳の図版を掲載した、1958年春パリのギャルリー・ジャネット・オスティエでの浮世絵展図録⑷Dessin Japonais du XIXe sièclesも所蔵していた。旧蔵書には友人アンドレ・マルローの長年の構想を実現した1962年パリ市立プティ・パレ美術館「文人画展」の図録はないが、文人画は当時のパリで人気を博していた。ジャコメッティもまたさらに豪華な装丁の⑸小林秀雄『鉄斎』筑摩書房、1957年を所蔵していた。2 彫刻に関する書籍⑹から⑾の彫刻に関する全書籍は1951年から52年にかけて美術出版社から刊行された彫刻写真集『日本の彫刻』全6巻の英語版(1952年から53年にかけて刊行)である。これらは1956年矢内原伊作が初めてジャコメッティのアトリエを訪問する際の手土産であった(注9)。英語版のテキストは野間清六と久野健による解説のみであるが、原書では志賀直哉や川端康成、和辻哲郎といった多彩な顔ぶれの作家たちが作品解説として各々エッセイを寄せており、矢内原伊作もまた『日本の彫刻Ⅱ 飛鳥時代』において京都・広隆寺「半跏思惟像」について短い文章を書いている。本書は、土偶から鎌倉時代の仏像まで、土門拳、藤本四八、入江泰吉、坂本万七らが撮影した、後に彼らの代表作の一つになる写真で構成されている。像が纏う雰囲気まで捉えられ

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