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― 440 ―た写真がB4版に大きく掲載されている。モノクロながら各像の大まかな材の質感や技法等、細部の仕上げまで見ることができる。3 考古に関する書籍埴輪もまたジャコメッティの関心を惹くものであった。⑿の松原正業『埴輪』創元社、1958年には、円筒埴輪や、器財埴輪、鶏形埴輪、人物埴輪、動物埴輪等の形象埴輪の写真が、109点掲載されている。それらに加え、解説文中にも、出土した古墳をはじめとする約30点の参考写真が添えられている。たとえ日本語が読めなくとも、埴輪の変遷がわかるつくりになっている。4 絵画、彫刻、考古が出品された日本古美術展図録戦後フランスで開催された二つの大規模な日本古美術展の図録及び関連出版物も彼は有していた。ひとつ目は1958年、パリ近代美術館で開催された⒀「日本古美術展Lʼart japonais à travers les siècles」の図録〔図3〕とその展覧会を特集した⒁Art et Style誌別冊号〔図4〕である。本展は、戦後初となるヨーロッパ諸国を巡回した日本美術展で、東京国立文化財研究所と文化財保護委員会を中心に進められ、国宝と重要文化財が多数出品された。19世紀末以来、欧米に定着していた浮世絵一辺倒の日本美術観に一石を投じるために、古代の土偶からから大正時代の日本画までの各時代を代表する日本美術を網羅的に紹介したものであった。その際、本展に先立つ1953年にアメリカにおいて開催された同様の趣旨の展覧会での経験から、湿度や輸送による損傷に耐えうる条件を備えた作品が選出された。前章で引用した書簡の記述の通り、ジャコメッティはアネット夫人ともに本展会場へ足を運び、そこに出品された宇治・平等院の5躯の雲中供養菩薩像を目にしている。また本書の中ほどには、ジャコメッティによる女性の顔のデッサンが残されている。本展の総作品数143点のうち図録には、絵画65点、彫刻及び面30点が、解説とともに掲載されている。カラー図版を含む67点の図版には、雲中供養菩薩像北17号や、奈良・法隆寺の国宝観音菩薩立像(7世紀末8世紀初)、その他、各時代の特徴がまとめられた日本美術史のテキストや、中国、韓国、フランスとの比較ができる年表も収められ、日本美術史の概説書となっている。他方、Art et Style別冊号には、雲中供養菩薩像南18号像や京都・神護寺の釈迦如来像、白色尉(翁面)等計64点の図版が掲載されている。二つ目の図録である1963年にパリ市立プティ・パレ美術館で開催の⒂「日本古美術展LʼAu-delà dans l'art japonais」をジャコメッティは2冊所有していた。本展は、次章にて取り上げるため、ここでの詳述は避けるが、日仏間の国家プロジェクトとしてフランスが企画したもので、縄文式土器や埴輪、奈良・唐招提寺の伝薬師如来立像(奈

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