― 538 ―8号が「グラフィックアート・セレクション」、そして最終号の9号が「夜」であった。3-4、美術と批評の区別『虎の目』の最大の特徴は、美術を積極的に扱ったことである。頁をめくると、その作品図版の多さからも十分にうかがえるが、目次を見ると詩や小説の頁と美術作品の図版頁が同列に記載されていることから、より明らかである。たとえそれが小説の挿絵であっても、目次においては小説の作者情報と挿絵の作者情報が並置されることで、同等に扱われているのだ。基本的に作品図版はモノクロだが、各巻につき1~2作品は、別途カラー印刷したものを貼り付けて図版として提供していることからも、積極的に美術を扱おうとする編集姿勢がうかがえる。さらに、『虎の目』における美術の独特のとりあげ方を示す特徴として、美術家たちの『虎の目』への関わり方は、基本的に作品図版の掲載か、文章またはステートメントの掲載である点が挙げられる。個別の詩などの挿絵であったり、特集テーマに合わせた主題の作品図版であったり、多くは雑誌の方針に沿った主題の作品図版が掲載される。また、特集テーマに合わせた美術家によるエッセイが掲載されたり、ニューヨークシティ近郊の美術家10人へのアンケートであったり、『虎の目』では美術家たちが能動的に雑誌に参加している。この特徴は、クレメント・グリーンバーグが担当した『ネーション』の美術時評のように、美術家や作品が主に批評対象として扱われることとはまったく異なっているといえる。その結果、『パーティザン・レヴュー』や『ネーション』は、美術家たちと緊張関係を保ちつつフォーマリズム批評を展開したグリーンバーグの批評活動の主戦場となったのに対して、『虎の目』は、美術家たちのイメージソースや着想源になるとともに、主題を共有する契機となり、美術家たちのコミュニティの形成に寄与したのである。4、おわりに以上のように『虎の目』の特徴を考察してきたが、「この雑誌は抽象表現主義のイメージやアイデアのための重要な乗り物となった一方で、パラダイムを変えたわけではなかった」(注23)というギブソンの主張には一理あるものの、美術家たちにとって重要なイメージソースや着想源になっていたこと、そしてステートメントや作品図版を掲載し、またニューマンのように編集に直接携わるなど、美術家たちが能動的に
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