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― 569 ―れるが、そのうち飛天6体が当初像と見られる。向かって左(北側)の上から下へ南2像、南4像、向かって右(南側)の北1像、北2像、北4像、北5像である〔図2〕(〔表1〕参照)。すべて乗雲のかたちで、垂髻を結び、天冠台(紐二条、列弁)を表し、条帛、天衣、裙、腰布を着ける姿は共通する。ただし垂髻の表し方で、雲中供養菩薩像にも多く見られる上下を紐で束ねる通常の方法を基本とする中、北2像、北5像は上方分を髪でもってリボン形に結び目を作りながらふっくらと束ねると見え、より装飾性の高いものとなっている。この垂髻の形式は、雲中供養菩薩像には見られない。両耳後ろまで含めて面部が後補である北1像を除き、南2像、北2像、北4像、北5像は、天冠台下の頭髪では両こめかみの位置に髪筋を表し疎彫とするが、南4像は表面の荒れもあり明確ではないものの、髪筋は表さないように見える。ただ、髪際線のうちで中央をやや彫りくぼめている。疎彫が多い雲中供養菩薩像では、唯一雲中北15像がこの表現をとる。また、服制について、裙の折返しを腰布の上に表すことを基本とするが、南4像だけ折返しを表さないようである。すべて裙裾で足先を包み(注3)、両膝をそろえる長跪か片膝を立てる胡跪の坐法で雲に直に坐る。雲中供養菩薩像は、安坐も立像もあり、坐像でも足先を包まない像が多い上に、雲の上の蓮台に乗るのと対照的である。また、光背飛天像も雲中供養菩薩像も、雲の流れから進行方向を見ることができるが、雲頭を進行方向の先頭とした時、光背飛天像はすべて進行方向へ体を向けており、飛翔の方向性が明確である。このことは、天衣はもとより、長めに表す条帛や腹前から垂らす腰帯がなびく様、腰布の下端が翻るといった表現にも表れている。これに対し、雲中供養菩薩像では、雲頭に背を向ける像や〔図3〕、雲頭側に体を向けない像も多く、飛翔の方向性は光背飛天像ほど強くはない。雲の表現については、両側から巻き込んで稜線を表し、その間にいくつも線を刻んだいわゆる霊芝雲や〔図4〕、芯に向かって巻き込んだ塊をいくつか集める雲のかたちは〔図5〕、光背飛天像にも雲中供養菩薩像にも共通するもので、特に、芯に向かって巻き込んだかたちの雲は、縁の線を立たせて非常に立体的である。ただし、光背飛天像はこの2種を合わせて少量で効率よく雲を表し、衣の表現とともに速度感が表されるが、雲中供養菩薩像は2種をやや複雑に組み合わせて厚めに雲を表したり、逆に薄く表したりと変化に富んで、速度感に緩急をつけている。構造は、基本的には髻頂から体部を含む雲底まで一材から彫成し、縦に割矧いで内刳りする。像表面は、背面の中央部を除いて、後補の漆箔に覆われる。ほとんどの雲中供養菩薩像と同様に、すべて頭部から上半身まで丸彫りで表すものの、下半身以下

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