― 600 ―テン語にかんする調査・研究資料の公開状況などの報告を拝聴出来たのは、研究集会の開催地所以であろう。研究集会の翌日に開催されたメネストレルの総会に先立ち(注8)、Szyller氏の案内でザルスキー図書館を訪問し、蔵書の歴史を介してワルシャワの歴史を改めて振り返ることとなったこともまた然り。かかる経緯からメネストレルの研究集会・総会をフランス国外で行う意義が共有され、今後日本での開催も強く望まれている。実現すれば日本の中世研究者とフランスを中心とするヨーロッパ諸国の研究者との学術交流が一層活発になることは間違いないと思われるため、諸分野の研究者の協力を仰ぎながら数年後の開催に向けて着実に準備をすすめてゆく予定である。3.調査・研究(リスボン、パリ)ポルトガル訪問を利用し、『イザベル・ド・ブルターニュの時祷書』(LA.237)の調査研究をカルースト・グルベンキアン美術館でおこなった(注9)。先行研究では制作年代や注文主・所有主にたいする様々な見解が提示されているが、筆者は図像プログラムの分析から当該写本がイザベル自身のために制作されたことと、彩飾年代が1440年ごろであることを確認した。それらを証拠立てる諸要素については、今後研究を十分深化させた上で随時報告してゆく予定である。関連の調査研究は、ポルトガル国立図書館、フランス国立図書館、フランス国立美術史図書館、ポンピドゥー・センター図書館にておこなった(注10)。4.美術館・博物館訪問(リスボン、パリ、ワルシャワ)非常に異なる歴史を有するポルトガル、フランス、ポーランドの美術館・博物館を歴訪することにより、国家財産としての美術コレクションが如何に生成されたかを比較検討する意義を深く認識することとなった(注11)。いっぽう企画展においては、映画、テレビ、漫画などで扱われてきたボルジア家の歴史を絵画から語らしめた《Les Borgia et leur temps》(マイヨール美術館)や、「仮面」の様々な表象形態を通時的に辿った《Masques, mascarades, mascarons》(ルーヴル美術館)などにより、教育における芸術作品の多様な可能性を再確認した。5.ヨーロッパ文化遺産の日(注12)(パリ、ヌムール)筆者がパリに到着した週末は、 第31回「ヨーロッパ文化遺産の日」にあたっていたため、ジャン無怖候の塔のガイド付き見学会に参加した。30分程度で塔の見所を歴史
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