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― 609 ―目で、山東省にある3箇所の摩崖刻経─東平県の洪頂山、新泰の粗徠山、滕州の陶山─に北斉時代に刻まれた「観世音仏」という尊名について、この尊名が阿弥陀仏の後継者としての観音のみならず、「空」の思想や、智慧の完成(般若波羅密)との関連で理解されるべきものであるという視点を、この尊名に隣接する石刻や、大正新脩大蔵経に伝わる関連経典の内容を踏まえながら述べられた。4番目、M・ビンゲンハイマー博士の発表、“Guanyin in Miracle Tales in the Mount Putuo Gazetters”は、浙江省寧波市の沖合にあり、宋以降観音信仰の一大中心となった普陀山の寺志中に見られる観音の感応譚に注目し、これら、比較的後世に生じた観音の奇瑞譚について、その地域性や、長い伝統を持つ観音の奇瑞譚におけるその位置づけについて論じるものであった。最後の発表、“The Digital Avalokitesvara Project”では、D・ウォン博士が、発表題目ともなっている博士主催プロジェクトの目的や、進捗状況について発表された。4本の発表はいずれもきわめて密度が濃く、刺激的であったが、報告者の研究との関連ではヴェンツェル博士の発表が最も興味深く、今後研究を進めて行く上での手がかりが得られた。部会直後の昼休み中には、部会の参加者を中心として、Digital Avalokitesvara Projectの今後に関する話し合いが行われた。その中で、データベースへの寄稿を、オンライン辞書Wikipediaのような開かれた形式にするという案、その際に寄稿内容のスクリーニングをいかに行うかなどといった問題点、また2年後を目処にプロジェクトに関連するシンポジウムを日本で開催すること、などが話題にあがった。この日の午後には、パネル32、“Tocharian Buddhism (II)”を中心に聴講した。8月20日終日パネル3、“Buddhism on the Silk Road III - the Extent of Gandharan Buddhism”を聴講した。8月21日午前中はパネル25、“The Buddhist Cult of Images - New Perspectives”を聴講した。この日の午後はエクスカーションに充てられており、報告者はウィーン美術史美術館を見学した。また、夕方以降にはハイデルベルク人文科学アカデミーのロター・レダローゼ博士が編纂した、山東と四川の石刻に関する研究書の出版記念レセプションに出席した。8月22日終日パネル28、“The Mountain of Five Plateaus: Studies of the Wutai Cult in Multidisciplinary and Transborder/Cultural Approaches”を中心に聴講した。また夕方にはウィーン近郊の

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