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― 614 ―今回のフォーラムは、中国社会科学院文学研究所および精華東亜文化講座関係者の間でも大変高く評価され、今後の展開に繋がるものと確信しております。このフォーラムの概要について同行した木田拓也さんから報告がありましたので、以下私なりにご報告申し上げます。2014年11月22日~23日、第8回SGRAチャイナ・フォーラムが北京で開催されました。今回のテーマは日本美術史です。22日の講演会は中国社会科学院文学研究所と、23日の講演会は清華大学東亜文化講座との共催でした。清華大学は北京大学のライバルであり日本でも知られていると思いますが、中国社会科学院は「知る人ぞ知る」かもしれません。中国社会科学院は、国家に所属する人文学及び社会科学研究の最高学術機構であり、総合的な研究センターです。中国社会科学院文学研究所の前身は北京大学文学研究所であり、1953年の創立です。1955年に中国社会科学院の前身である中国科学院哲学社会科学学部に合併されました。現在115人の研究員がいて、そのうち上級研究員は79名ということです。今回、日本から参加してくださった2名の講師は、佐藤道信氏(東京藝術大学芸術学科教授)と、木田拓也氏(国立近代美術館工芸館主任研究員)です。佐藤氏は日本美術史学の代表的な研究者の一人であり、木田氏は日本の工芸史の研究者として活躍していらっしゃいます。木田氏が2012年に実施した「越境する日本人─工芸家が夢見たアジア1910s~1945」という展覧会が、今回の北京でのフォーラム開催のきっかけとなりました。まず、11月22日の講演会についてご紹介します。佐藤氏の講演題目は「近代の超克─東アジア美術史は可能か」、木田氏は「工芸家が夢みたアジア:〈東洋〉と〈日本〉のはざまで」でした。佐藤氏は、「美術」「美術史」「美術史学」をめぐる制度的な研究をしてきた研究者です。その目的は、美術の今がなぜこうあるのか、現在の史的位置を考えることにありました。最初は、「日本美術(史)観」をめぐる日本と欧米でのイメージギャップについて研究し、大きな影響を与えた研究者ですが、この十数年は、欧米と東アジアにおける「美術史」展示の比較から、その地理的枠組の違いと、それを支えるアイデンティーの違いについて考えてきました。欧米の国立レベルの大規模な美術館では、実質「ヨーロッパ美術史」を展示しているのに対して、東アジアでは中国・台湾、韓国、日本、いずれの国立レベルの博物館でも、基本的に自国美術史を中心に展示していることを指摘しました。つまり、実際の歴史では、仏教、儒教、道教の美術や水墨画が、広く共有されてい

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