(10)ヴィシェネヴスキーは天使が一角獣を追いたてているのみであるとする。Wischnewsky, art.(11)Kober, art. cit., pp. 22-23; Einhorn, 1998, p. 289; Vetter, op. cit., p. 159.(12)エアフルト大聖堂に3点、聖ウルスラ修道院とエアフルト博物館に1点ずつの計5点。(13)たとえば4匹だと聖ベルナールによる詩編85:10(ウルガタ訳では84:11、新共同訳では85:11)注解に基づく「慈愛」「真実」「正義」「平和」とされる。海津忠夫『愛の庭:キリスト教美術探究』日本キリスト教団出版局、1981年、165頁。(14)エゼキエル書に登場する閉ざされた門(porta clausa)は、天国の門やヨアヒムとアンナが出会う黄金の門(porta aurea)や「エゼキエルの門(porta ezechielis)」も意味し、庭園の中で複数の門が銘文を伴って描かれることもある。Prà, art.cit., p. 215; Schiller, op. cit., p. 54.(15)Vetter, op. cit., p. 165.(16)『貧者の聖書』では「ギデオンの毛皮」が受胎告知、「モーセと燃える柴」と「アロンの杖」が降誕を予告するものとされる。『人間の救済の鏡』でも受胎告知は「ギデオンの毛皮」と「モーセと燃える柴」、降誕が「アロンの杖」と結びつけられている。エゼキエルの「閉ざされた門」は聖母マリアの誕生の予型とされるが、バイエルン国立図書館所蔵の『人間の救済の鏡』では、この四つの旧約の出来事がいずれも降誕の予型として示されている。後述するキリストを象徴する動物も描き込まれていることは興味深い。Speculum humanae salvationis, ca. 1440-1466, München, Bayerische Staatsbibliothek, Cgm. 3974 (in Digital Bibliothek, Bild Nr. 108). Cf. Adrian Wilson et. al., A medieval mirror. Speculum humanae salvationis 1324-1500, Berkeley, Los Angeles, London, 1984, p. 153.(17)「神秘の一角獣狩り」に頻出する4つの旧約聖書のモチーフや動物の逸話は、いずれも『弁明』にあげられている。熊の逸話などはフィシオログスにはなく、動物寓意譚でも希であるため、図像と文献の間には影響関係があるだろう。Friedrich Zoepfl, “Defensorium,” Reallexikon zur Deutschen Kunstgeschichte, vol. 3, 1954, pp. 1206-1218 (online version).(18)Cornell, op. cit., pp. 48-49. 例えばロヒール・ファン・デル・ウェイデンの《ブラデリン祭壇画》(15世紀半ば、ベルリン国立絵画館)右翼パネルには、三人のマギの頭上に光る幼子の姿がある。(19)Tr. by Isa Ragusa and Rosalie B. Green, Meditations on the Life of Christ: An illustrated Manuscript ofthe fourteenth century Paris, bibliothèque nationale, Ms. Ital.115, Princeton, New Jersey, 1961, p. 19.Cf. Prà, art. cit., p. 219.(20)ロブはこの論文の末尾に「受胎告知における幼子キリストのモチーフについて」という補遺をつけている。David M. Robb, “The Iconography of the Annunciation in the Fourteenth and FifteenthCenturies,” The Art Bulletin, 18, 1936, pp. 480-526, esp. pp. 523-526.(21)例えば以下のような写本の挿画を参照。Biblia sacra moralisata, 13th century, Paris, BibliothèqueNationale, Ms. Lat. 11560, 219v; Paris, Bible moralisée, late of 13th century, Oxford, Bodleian Library,Ms. Bodl. 270b, fol. 59v. Cf. Adelheid Heimann, “Der Meister der “Grandes Heures de Rohan” und seineWerkstatt,” Städel-Jahrbuch, 7-8, 1932, pp. 1-60, esp. p. 43. ロブは少なくとも9つの『ビーブル・モラリゼ』に裸体の幼子を伴った受胎告知図がみられるとする。Robb, art. cit., p. 523.(22)Robb, art. cit., p. 524.(23)南チロル地方以外の幼子イエスを伴った受胎告知で、15世紀以降で筆者が確認した作例は、ローマのサンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂のものと、ヴェローナの聖アナスタシアder Bildtypen im Mittelalter, Heidelberg, 1954, p. 108.cit., p. 28.― 95 ―― 95 ―
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