(4) 第18章 ウージェーヌ・コルノー《国立図書館》Eugène Corneau, La Bibliothèque (5) 第20章 シャルル・カモワン《モンマルトル》 Charles Camoin, Montmartre (エッ縦長の画面の下三分の一が、余白のような空間として描かれ、この部分にハトのような鳥が15羽ほど群れている。中景左寄りには、画面の端で切れてはいるが噴水、右寄りには、木々や植え込みが見られる。それらの奥に重厚感のある建物が、画面の横幅いっぱいに描かれている。2区の「国立図書館La Bibliothèque Nationale」を、その東側の「リシュリュー通りRue de Richelieu」を挟んで向かいの「ルーヴォワ小公園Square Loubois」の中から眺めた風景である〔図9〕。公園の中心には噴水があり、その周りは散歩のできるような空間が広がっている。この作品では、低い視点から丁寧な筆致による描写で手前に憩う鳥たちをじっくり見せると同時に奥の図書館の存在感を見上げるように描いている。公園ののどかな様子と、図書館の風格ある建物とを対比させている。チング・紙/プレートサイズ34.0×26.4)〔図10〕縦長の画面の前景に左右に伸びる道があり、それと交差するように後景に向かって上り坂の道が続く。交差点の右側の角に柵があり、手前に空き地のような空間、さらにその奥に向かって道なりに建物と街路樹が続き、遠景にドーム状の建物が見える。左側の角には人物が二人描かれ、敷地内には1、2階建ての小さな建物がある。この建物の背後には文字の書かれた壁、さらにその奥へと3、4階建ての建物が道なりに立ち並ぶ。これは18区のモンマルトル地区、画面手前の通りは「ソール通りRue des Saules」、奥に向かって伸びる通りは「サン・ヴァンサン通りRue de Saint Vincent」である〔図11〕。白いドームは、登って行った先にある「サクレ=クール寺院Sacré-Coeur」の塔である。サン・ヴァンサン通り入口右手には小さいながらもブドウ畑(Clos Montmartre)がある。一方右手にある小さな建物はシャンソニエ「ラパン・アジルAu Lapin Agile」である。芸術家たちも集ったというラパン・アジルに、芸術家の集うモンマルトルの性格を象徴させた作品である。Nationale (エッチング・紙/プレートサイズ33.5×26.5)〔図8〕― 330 ―― 330 ―
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