鹿島美術研究 年報第34号別冊(2017)
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注⑴「ガンダーラ」という地域名は広義にはインダス河左岸のタキシラ、狭義のガンダーラであるペシャーワル盆地周辺域、その北部山岳地帯のスワート及びディール、アフガニスタン東部ハッダ、現在の首都カーブル近郊のカーピシーなどの諸地域の総称である。⑵制作年代を2~3世紀とするのがJ. Munié, Shotorak, Paris, 1942; 田辺勝美「迦畢試国出土の仏教彫刻の制作年代について」『オリエント』15-2, 1972年, pp. 87-121; H. Tsuchiya, “AnIconographical study of the Buddhist art of Shotorak, Paitava and Kham Zargar”, Silk Road Art andArchaeology, vol. 6, 1999/2000, pp. 97-114; G. Fussman, Monuments Bouddhiques de la Région deCaboul, 2 vols., Paris, 2008.などで、6~7世紀とするのがD. Klimburg-Salter, The Kingdom ofBamiyan: Buddhist Art and Culture of the Hindu Kush, Naples-Rome, 1989; S. Kuwayama, “TheHorizon of Begram III and Beyond. A Chronological Interpretation of the Evidence for Monuments in theKapisi-Kabul-Ghazni Region”, East and West, vol. 41, 1991, pp. 79-120.である。この他、3~4世紀とするJ. Hackin, “Sculptures Gréco-Bouddhiques du Kapiśa”, Fondation Eugène Piot Monuments etMémoires, t. XXVIII, Paris, 1925/26, pp. 35-44; B. Rowland, The Art and Architecture of India:Buddhist, Hindu, Jain, London, 1953. また 4~5世紀とする宮治昭「燃燈仏授記図浮彫」『国華』1363, 2009, pp. 39-42など。⑶カーピシー派に見られる、「燃燈仏授記」図と「アショーカ王施土」図を一対とする図像構成はアジャンター石窟や雲崗石窟にも看取され、カーピシー派との関連が指摘されている。福山泰子「アジャンター石窟にみる授記説話について─5、6世紀におけるガンダーラ美術の影響の一事例として─」『佛教藝術』304, 2009年, pp. 9-36;安田治樹「雲崗石窟の彫刻にみられる本縁説話─アショーカ施土物語と燃灯仏授記本生─」『佛教藝術』135, 1981年, pp. 30-48。⑷フランシーヌ・ティッソ『図説ガンダーラ』東京美術、1993年、pp. 92-128。⑸J. M. Rosenfield, The Dynastic Arts of Kushans, Berkeley and Los Angeles, 1967, pp. 215-249; 田辺、前掲書 pp. 114-115。⑹山田明爾「とんがり帽子のサカ」『龍谷大学論集』457、2001年、pp. 36-60。⑺ヘロドトス『歴史』巻七、六四はサカについて「キュルバシアという先が尖り上にピンと立った硬い帽子を頭に被り、ズボンを穿」くとする。松平千秋(訳)『ヘロドトス 歴史(下)』岩波書店、2008年、p. 59。⑻この他、左衽の供養者像についても、これをサカと見る説(Rosenfield, op.cit., p. 220)とパルティアと見る説(田辺, 前掲書p. 115)があるなど、研究者間での見解も一致しない。⑼このような垂れ飾りはガンダーラの遊牧民系供養者像にも看取されるが、その場合にはチュニックが無装飾ではなく、左胸の方形装飾や三角形の肩掛けを伴うという差異が認められる。⑽塚本啓祥『インド仏教碑銘の研究I』平楽寺書店、1996年、p. 678、Mathura 95。⑾H. Falk, “The yuga of Sphujiddhvaja and the era of the Kuâas”, Silk Road Art and Archaeology, vol. 7,2001, pp. 121-136.⑿塚本、前掲書、p. 661、Mathura 64。⒀岩井俊平「カーピシー地域で出土する片岩彫刻の年代」『遠古登攀』遠古登攀刊行会、2010年、⒁宮治昭『涅槃と弥勒の図像学』吉川弘文館、1992年、p. 313。⒂宮治、前掲書、pp. 309-315. によって主題比定がなされている。ショトラク出土でギメ美術館pp. 109-127。― 396 ―― 396 ―

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