注⑴ アルテミジアに関する基礎研究としては次のモノグラフが挙げられる。Mary D. Garrard, Artemisia Gentileschi: The Image of the Female Hero in Italian Baroque Art, Princeton: Princeton University Press, 1989; R. Ward Bissell, Artemisia Gentileschi and the Authority of Art, Critical Reading and Catalogue Raisonné, University Park: Pennsylvania University Press, 1999.られる造形は、アルテミジアがフィレンツェで学んだトスカーナ的な優美さの再表出と考えることもできるからだ。おわりに以上のように、アルテミジアはナポリにおいて、トスカーナの人脈を活用しながら生活しており、その影響は一部造形面にも及んでいると思われる。トスカーナに由来する一族の出自や、フィレンツェ滞在によって培われたトスカーナ的な趣味は、一族のコネクションや、フィレンツェ人コミュニティとの関わりの中で制作していた画家に、長い期間保持され、ナポリにおける制作活動にも影響を及ぼしていたといえる。― 244 ―― 244 ―⑵ R. Ward Bissell, Orazio Gentileschi and the Poetic Tradition in Caravaggesque Painting, University Park: Pennsylvania University Press, 1981, pp. 1－3.⑶ Keith Christiansen, “Orazio Gentileschi and S. Giovanni dei Fiorentini”, The Burlington Magazine, vol. ⑷ アルテミジアの書簡については、Francesco Solinas, ed. Lettere di Artemisia: Edizione critica e annotata con quarantatre documenti inediti, Rome: De Luca Editore dʼArte, 2011を参照。なお、この時期のフィレツェ宮廷との関係については、川合真木子「ナポリのアルテミジア・ジェンティレスキとフィレンツェ宮廷：1630年代の書簡の翻訳と解題」『Aspects of Problems in Western Art History』（東京芸術大学西洋美術史研究室紀要） vol. 14 、2017年、157－166頁も参照。⑸ 「1785年にサン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂の大掛かりな修復を担当していた卑しからぬ人物から聞いた話であるが、この機会にリッチョ礼拝堂にあった大理石の石板が埋められた。これが砕かれてしまったか新しい床の下に残っているのかはわからないが、その中央には『アルテミジアここに（あり）』と書かれていたという。おそらくこの短い碑文は、高名なペルージャの『バルトロの骨』の例のように、遺灰の位置を示し、彼女の名前のみで構成することで、我々の称える優れた女性画家に最も適切な墓碑としたものではないだろうか」（筆者訳）。Averardo deʼ Medici, “Artemisia Gentileschi”, in Memorie istoriche di più uomini illustri pisani, ed. Angelo Fabroni, Pisa: Ranieri Prosperi, 1792, vol. 4, p. 463.⑹ Alessandro Da Morrona, Pisa Illustrata nelle arti del disegno, vol. 2, Livorno: Giovanni Marenigh, 1812 ［1st ed. Pisa, 1792］, p. 491. 例えばウォード・ビッセルは、この教会があった教区の死亡者名簿の調査を行っているが、アルテミジアの記録は発見できず、メディチの伝聞による記述を信用できないとの見方を示している。Bissell（1999）, op. cit., pp. 101－102.⑺ Jesse Locker, “An Eighteenth-Century Biography of Artemisia Gentileschi,” Source: Notes in the History of Art, vol. 29, no. 2 （Winter, 2010）, pp. 27－37.136, no. 1098 （Sep., 1994）, p. 621.
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