鹿島美術研究 年報第35号別冊(2018)
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注⑴ 松尾芳樹「土佐派絵画資料「源氏物語画帖」について」『土佐派絵画資料目録(九)画帖(三)』⑵ 前掲注⑵の松尾論文では、C群の扇面画が通常の大きさ(上弦52センチ程度)よりも小さく、非実用的な大きさの源氏絵扇面が未だ知られていないことを指摘し、実際の扇面に描くための雛形の可能性が指摘された。しかし、展覧会図録『特別陳列 土佐光起 生誕400年 近世やまと絵の開花─和のエレガンス─』大阪市立美術館、2017年の出品目録にて、扇面部分の寸法は7.8×21.7センチと記されており、他の群と同様にC群の扇面も同寸の粉本であった可能性が浮上した。⑶ 現在のところ、本議論との直接の関係性は見いだせないが、論文中で小嶋氏は幻の「源氏物語絵巻」の場面選択の特異さについて、物語理解の深さからくる特性であると指摘し、「注釈的絵画」との語で説明している。このように、17世紀源氏絵の場面選択における要因のひとつに、『源氏物語』の〈読み(=解釈)〉の提示という動向があったことが考えられるのである。(小嶋菜温子「幻の「源氏物語絵巻」と『源氏物語』注釈史─若菜下巻「帝の妻をあやまつ」をめぐって」『立正大学 文学部論叢』第141号、立正大学文学部、2018年3月、p.5-22)⑷ 下原美保『住吉派研究』藝華書院、2017年⑸ 「特別陳列 土佐光起 生誕400年 近世やまと絵の開花─和のエレガンス─」2017年9月2⑹ 榊原悟「住吉派『源氏絵』解題─附諸本詞書─」『サントリー美術館論集』3号、サントリー美術館、1989年12月、p 5-181/榊原悟「細画の美─土佐・住吉の画帖─」『土佐・住吉派 光則・光起・具慶(江戸名作画帖全集V)』駸々堂出版、1993年、p. 156-162⑺ 『見ながら読む日本のこころ 源氏物語』学習研究社、1986年、p92-95⑻ 髙松良幸「大阪青山短期大学所蔵 住吉如慶筆「源氏物語画帖」について」『大阪青山短大国文』⑼ 菊地絢子「近世源氏絵における場面選択法と『源氏物語』の〈読み〉─新出「源氏物語画京都市立芸術大学芸術資料館、2000年、p. 64-72日(土)~10月1日(日)、於大阪市立美術館14、大阪青山短期大学国文学会、1998年3月、p. 79-90帖」の紹介をかねて」『哲学会誌』第40号、学習院大学哲学会、2016年5月、p. 27-53小林忠・河野元昭『土佐・住吉派 光則・光起・具慶』駸々堂出版、1993年2月ハーバード大学美術館 http://www.harvardartmuseums.org/collections京都国立博物館『京都国立博物館蔵 源氏物語画帖』勉誠社、1997年4月田口栄一・秋山虔『豪華「源氏絵」の世界 源氏物語』学習研究社、1999年7月― 293 ―― 293 ―図版出典図1参考、4 徳川美術館『絵画でつづる源氏物語─描き継がれた源氏絵の系譜』2005年10月図1 図3 図5 図6

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