鹿島美術研究 年報第35号別冊(2018)
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われ、氏の来日は、日本、中国の仏教美術研究の今後の研究の発展のために大いに意味のあるものであったと言える。⑵会議出席①18世紀から19世紀の文学、絵画、舞踊期   間:2017年5月22日(1日間)会   場:フランス共和国、パリ第3大学報 告 者:大阪大学大学院 文学研究科 助教代理  川 野 惠 子2017年5月22日パリ第三大学にて「18世紀から19世紀の文学、絵画、舞踊」という国際会議が開かれた。オーガナイザーは17世紀から19世紀に至るフランス文学・美学を専門とし、美術分野においてはディドロとボードレールの美術批評研究において顕著な業績を持つパリ第3大学のナタリー・クレメール准教授及び18世紀のフランス上演芸術を専門とするオクスフォード大学リンカーン・カレッジのエドワード・ナイ教授である。本会議の目的は、芸術のモダニズム理論の問い直しである。会議冒頭においてクレメール教授は、研究集会とは一般的に主題を限界に限定して行われるが、以上の目的のために、本会議は意図的に異種混合性を目指したと説明する。というのも、芸術のモダニズム概念は18世紀に言語芸術と造形芸術を分けたレッシングの諸芸術の分割概念を皮切りに、芸術の自律化によって特徴づけられるが、これを問い直すためには、18世紀から20世紀と歴史的区分を比較的緩やかに設定し、さらに文学、絵画、舞踊と幅広いジャンルに焦点をあて、ジャンル間交渉の問題及び芸術と社会の多様な関わりを検討する必要があるからだ。さらにナイ教授からは、以上の諸芸術の分割概念を契機とするモダニズム観を問い直す鍵として、他芸術ジャンルとの連携があって初めて作品化される舞踊芸術は、本質的に自律的芸術概念にそぐわない。したがって、自律的芸術というモダニズム芸術理論の問い直しには舞踊芸術ジャンルに関する検討がまず有効であると考えられたからである。以上のオーガナイザーの導入に引き続いて英仏日からの8名の参加者による発表が行われた。発表者名及び発表題目を以下に記す。― 415 ―

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