「被服から生まれる所作と人格」についてとしてクラフト、工芸を考えるのとは違う視座の必要性を感じさせる貴重な講演であった。アメリカ西海岸サンディエゴの国際民藝ミュージアムのチーフキュレーターのクリスティーン・ノーク氏はキュレーションされた展覧会の紹介を通してアメリカにおける主に日本の陶磁についての考え方と評価する点を明らかにされた。金沢21世紀美術館の展覧会、深澤直人が2016年にキュレーションした「工芸とデザインの境目」や秋元雄史による「工芸未来派・Japanese Kougei Foward」など、また自身のアメリカでのコンテンポラリークラフトのキュレーション「ファンクションとファンタジー」を紹介する。このアーティストは個人的なストーリーを表現する際にデザインやファッションや工芸と関連付け、表現している点に特徴がある。2004年の「Surf craft」という展覧会はサーフボード自体の変化を見せたものだ。このように特化されたコンテンツに注目しルーツや文化を汲み取る際に工芸やクラフトに注目して読み替えていく捉え方に意味があるように思われた。第2部、東京藝術大学工芸科選抜在学生による作品のプレゼンテーション、それに対してのディスカッション1 染織専攻の村尾拓美(修士1年)のプレゼンテーション。2 漆芸専攻の長島友治(修士1年)のプレゼンテーション。乾漆作品について3 彫金専攻の速水紫乃(修士1年)のプレゼンテーション。有線七宝を使った作品について4 鍛金専攻の吉田果歩(修士1年)のプレゼンテーション。オブジェとしての工芸制作について5 鋳金専攻の澤田万里子(博士課程2年)のプレゼンテーション。鋳造手段とした作品制作について6 陶芸専攻の布下翔碁(博士課程2年)のプレゼンテーション。ハイブリットクラフトという考え方について7 ガラス造形専攻の近岡令(博士課程2年)のプレゼンテーション。作家としてのキャリス作品論を発表する。学生のプレゼンテーション終了後フリーディスカッションの時間が設けられ染織の上原利丸教授から日本の明治以降生まれた「工芸」、今日いう「アート」の区別についてどう思われているのか? という質問がなされた。ナディーヌ氏はアートフェア― 428 ―
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