⑵会議開催①国際シンポジウム「中世における文化交流─対話から文化の生成へ─」か。質問者4:古い時代の版画は版木がないことが多い。ロートレック作品はどうか。カルヴァジョ:石版を使用しています。約1トンの石版はとても重く高級だったため、表面を削り落として使い回していました。なお、以上の質疑応答を経て、カルヴァルジョ氏からは「本日一番申し上げたかったことは、展覧会では説明文を探すのではなく、作品自体と徹底的にじっくり向きあってほしいということです」というコメントによって講演会が締めくくられました。期 間:2017年11月17日~19日(3日間)主 催 者:メネストレル(Ménestrel)会 場:奈良、大和文華館報 告 者:帝塚山学院大学 兼任講師 田 辺 めぐみ中世学者の国際的な組織「メネストレル」が主催する若手研究セミナー国際シンポジウムはフランス、オランダ、イギリス、そして日本の発表者23名翻訳・通訳者9名、司会者3名、ポスター・チラシ制作者1名と、23名の美術史・文学・歴史分野の研究者を聴衆に迎え、仏語英語日本語での活発な議論が繰り広げられる非常に充実した会となった。第1日目はまず佐藤龍一郎氏(東京大学博士課程)による英語での案内で、東大寺を見学した後、大和文華館の特別企画展《書の美術─経典・古筆切・手紙─》を学芸員の古川攝一氏の解説、島崎利夫氏(東京大学博士課程)の仏語通訳で観覧。シンポジウムの主題や関係者の専門分野(美術史、文学、古文書学、歴史)を考慮して企画されたということもあり、書の芸術を堪能するに留まらない、極めて有意義なものとなった。島崎氏に急きょ作成して頂いた仏語パンフレットは、展示作品のより良き理解に非常に役立ったようである。午後は、メネストレルが運営する中世関連のポータルサイト数部門の紹介や、フラ― 440 ―
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