鹿島美術研究 年報第36号別冊(2019)
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注⑴BnF, Département des Manuscrits, Ms. 12347, fol. 186; Correspondance de Nicolas Poussin, C. Jouanny(éd.), Archives de lʼArt français, t. V, 1911, pp. 372-374. モードの理論と主題の性格を考察したものとして、たとえば以下。望月典子「ニコラ・プッサン作《エウダミダスの遺書》の道徳的効果─「モードの理論」に関連して─」『美學』52巻4号、2002年、29-42頁。1701年のボーデによる版画の銘文には、本作品の詳細な記述を見ることができる〔図11〕。片側に都市の入り口があり、反対側の、大変幅のある川の近くには田舎の別荘がいくつか描かれている。村全体に様々な住人たちが溢れていて、ある人々は水浴し、また別の人々は餌を垂らし釣りに興じる。散策したり、休息する幾人かの人々もいる。ディオゲネスからそう遠くない場所では、哲学者が仲間、あるいは弟子と対話をしている。(注38)水浴、釣り、散策や休息する人々、別荘に言及するこの銘文は、理想的風景画が拠り所としたプリニウスの記述を思い起こさせるものである(注39)。ここに記されている通り、前景と後景の境には、哲学者を思わせる装いをした三人の人物がいるが〔図12〕、プッサンは、こうした細部においても主題と風景の一致を追求した。本作品の人物の配置は、都市から自然への変化に対応する。都市に隣接した郊外の人々が後景で田園生活を楽しみ、より手前の牧草地では羊飼いが家畜に草を食ませ、哲学者たちが議論に興じる。そして最前景のさらに隔絶された自然の中に、ディオゲネスが簡素な生き方の究極を悟った場面が表わされている。― 406 ―― 406 ―⑵「隠遁」との関連で本作品に言及したものとして、特に以下。T. P. Olson, Poussin and France:Paintings, Humanism, and the Politics of Styles, New Haven & London: Yale University Press, 2002, pp.236-243; C. Pace, « 'Peace and Tranquillity of Mind': The Theme of Retreat and Poussin's Landscapes »,Poussin and Nature: Arcadian Visions (cat. exp., New York 2008), P. Rosenberg, K. Christiansen (ed.),New York: The Metropolitan Museum of Art, 2008, pp. 73-89, pp. 84-85.⑶A. Félibien, Entretiens sur les vies et sur les ouvrages des plus excellents peintres anciens et modernes,Paris: Sebastien Marbre-Cramoisy, IV, 1685, p. 299. 以下を参照。N. Milovanovic et M. Szanto (dir.),Poussin et Dieu (cat. exp., Paris 2015), Paris: Musée du Louvre, 2015, nº 91, pp. 422-425. マーンが制作年代に疑問を持ち、近年ではローザンベールが1654年以前としている。D. Mahon,« Réflexions sur les paysages de Poussin », Art de France, I, 1961, pp. 119-132, pp. 129-132; P.Rosenberg, Nicolas Poussin: les tableaux du Louvre, Paris: Somogy éditions d'art, 2015, nº 34, pp. 290-297.

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