鹿島美術研究 年報第36号別冊(2019)
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Ⅱ.「美術に関する国際交流援助」研究報告1.2018年度助成⑴外国人研究者招致①ハート形のイメージ世界:見えるものと見えないもの期   間:2018年10月4日~10月9日(6日間)招致研究者:ポルトガル共和国、カトリック大学 文学部 助教授 イタリア共和国、サレント大学 講師、 オストゥーニ司教管区博物館 学芸員報 告 者:関西大学 文学部 教授  蜷 川 順 子このたびの研究者招致援助は、ポルト市にあるポルトガル・カトリック大学助教授のヴィトール・テイシェイラ氏と、イタリア、サレント大学の講師やオストゥーニ司教管区博物館学芸員などを務めているテオドーロ・デ・ジョルジオ氏に対して認められた。両氏は、2018年10月6日に関西大学で開催された第69回美学会全国大会に合わせて実施した関西大学文学部主催の国際シンポジウム『ハート形のイメージ世界:見えるものと見えないもの』に、登壇者として参加した。また、10月7日から9日にかけて、長崎市および五島列島の福江市を中心に、19世紀に日本にもたらされたキリスト教美術関係の施設などの視察を行い、意見を交換した。国際シンポジウムでは、両氏の他に後述する5名を合わせた計7名が、稲賀繁美氏(国際日本文化研究センター)と岡田温司氏(京都大学)の司会のもとでそれぞれ報告を行い、最後に司会として蜷川順子(関西大学)が加わり、全員での討論会を実施した。報告者全員が共通テーマとして、われわれの身近でありふれたものでありながら、それがあるだけで周囲の意味を大きく変えることもある不思議な力をもった視覚記号あるいは視覚媒体とも言える「ハート形」を扱った。そして、この不思議な力の根底に、古今東西のさまざまな文化圏において確認される、身体的な心臓と、精神的な情動やこころや魂の在処とを同一視する考え方があることを想定し、ハート形は、ヴィトール・テイシェイラ(Victor Teixeira)テオドーロ・デ・ジョルジオ(Teodoro De Giorgio)― 587 ―― 587 ―

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