鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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注⑴服部幸雄『江戸歌舞伎論』法政大学出版局、1980年⑵『許多脚色帖』(早稲田大学演劇博物館所蔵)は上方歌舞伎に関する資料の貼込帖で、歌右衛門― 109 ―― 109 ―制作背景について、現状で判明している内容についてまとめ、考察を行った。今後はこれらの項目についてより掘り下げた調査と考察を行うことを課題としたい。本屏風は制作の経緯については不明な部分が多いものの、作品の規模の大きさ、完成度の高さから豊国の代表作に成り得る作品である。また、江戸の文化人のネットワークを考える上でも貴重な資料と成り得るものである。本屏風は未発表作品であったが、この報告書を通して今後多くの人の目に触れることで、関連資料の発見や関連研究の進展に繋がることを期待している。付記 本論稿制作にあたり、作品調査においては新藤茂氏、石橋健一郎氏、渡邉晃氏、成澤勝嗣氏、奥田敦子氏に、歌右衛門の情報については北川博子氏、神楽岡幼子氏に多大な御助力を頂いたことに感謝申し上げます。また屏風の御所蔵者に多くの情報をご提供頂いたことを、ここに厚く御礼申し上げます。の贔屓であった吉野五運が、浜松歌国に依頼して編纂させたものであるとされる。⑶神楽岡幼子『歌舞伎文化の享受と展開─観客と劇場の内外─』八木書店、2002年⑷『大田南畝全集 第二巻 狂歌・狂文・狂詩Ⅱ』岩波書店、1986年⑸前掲注⑶、神楽岡⑹前掲注⑴、服部⑺佐竹義和は画家としても著名な佐竹義敦(曙山)の子である。⑻柏崎諒「出羽久保田藩佐竹家御絵師狩野秀水家資料─狩野派藩絵師の粉本について─」『美術史研究』早稲田大学美術史学会、2019年、19頁⑼金森正也『「秋田藩」研究ノート』無明舎出版、2017年

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