― 164 ―― 164 ―20)の中に次のように書いている。「凡官府春宴、或會、遇鹿鳴宴、文武官試中設同年宴、及聖節滿散祝壽公筵、官府各將人吏、差撥四司六局人員督責、各有所掌、無致苟簡。或府第斎舍、亦于官司差借執役、如富豪士庶吉筵凶席、合用椅卓、陳設書畫、器皿盤合動事之類、則顧喚局分人員、俱可完備、凡事毋苟。」即ち、凡そ官署における春の宴、或は同郷会、鹿鳴宴、文武官僚の同期宴、及び皇帝のお誕生日などの祝賀宴会において、官署が人員を、四司六局に監督させ、それぞれの担当に分け、行き届かぬことのないように気を付ける。或は私人の邸宅、仏寺などにも、時には官署から人手を借りて、例えば富豪、士大夫と庶民の慶弔宴会の際に、使用する家具、陳列する書画、また器物皿合子類などの道具を、それぞれの担当の人に任せて、全て完備するように準備させ、不備のないように務める。ただし、当時の共通認識として、宴会所の設えを担当する人は、専門職であるべきで、主催者がやることではない。同書には「俗諺云、燒香點茶、掛畫插花、四般閒事、不宜累家。」との一文があり、諺曰く、香を焚くこと、茶を点てること、絵を掛けること、花を入れること、四つの閑事であり、家に累を及ばすのが良からぬ、としている。挿花を司る具体的な部署については、南宋後期の文人耐得翁の著した『都城紀勝』という書籍のなかには、「官府貴家置四司六局、各有所掌、故筵席排檔、凡事整齊、都下街市亦有之。常時人戶、每遇禮席、以錢請之、皆可辦也。(中略)排辦局、專掌掛畫、插花、灑掃、打渲、拭抹、供過之事。」と記し、官署と貴人の家には四司六局を設け、各自司ることがあり、故に宴会に際して、全てのことが整い、都の市街にも同じである。普通の家には、平日に礼に合う宴を用意する時、お金を出して四司六局を呼べば、全て任せることができる。中には排弁局は、絵を掛けること、花を生けること、掃除すること、供えることなどを専ら司る、ということが分かる。ここからみれば、香、茶、画、花が宴会などの場において、既に社会全体に渡り共通の飾りの一つと認識されたことが分かる。なお、公共の場において、この四つの飾りが宴会の主催者本人ではなく、専門職によって準備される。香、茶、画、花という四つの要素が宴には不可欠だが、主催側が自ずから考えるのではなく、あくまで「閑事」として、四司六局に任せるべきだといわれる。ところで、文人階層の挿花趣味は、建築様式及び家具様式の変化と共に、花材や花器に対する認識と選択基準をも変わっていく。唐時代までは、家具の主流として低型家具が多用されていた。折り畳み椅子なども西域から伝わってきたが、生活様式として、まだ直接床や蓆を敷いて膝を折り座っていた。宋時代に入ると、高型家具が大き
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