鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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― 316 ―― 316 ―【風景→人物】:《悲劇(海辺の貧しき人々)》(1903年、IX.6)〔図5〕【静物→人物】:《棺の中のカサジェマス》(1901年夏の終盤頃、VI.5)【人物→静物】:《青いグラス》(1902-1903年、リスト外1)【男性像→女性像】: 《アイロンをかける女》(1904年春、XI.6)、《シュミーズを着た女》【男性像→母子像】:《母と子》(1901年頃、VI.30)【女性像→男性像】: 《鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像》(1901年、VI.34)〔図2〕、《盲者の食事》(1903年、IX.32)、《老いたギター弾き》(1903年末-1904年初頭、IX.34)【女性像→母子像】:《海辺の母子像》(1902年、VII.20)〔図3〕【女性像→子どもの像】:《鳩を抱いた子供》(1901年夏の終盤から秋、VI.14)【子どもの像→男性像】:《ル・ボック(サバルテスの肖像)》(1901年、VI.19)【半身像→別の半身像】:《貧しき家族(カフェの二人)》(1903年、IX.9)【半身像→別の全身像】:《海辺の母子像》(1902年、VII.20)〔図3〕【全身像→別の半身像】:《盲者の食事》(1903年、IX.32)【全身像→別の全身像】:《貧しきユダヤ人》(1903年、IX.30)(1905年頃、XII.5)〔図7〕Ⅱ-2.画面の部分的な変更(画家本人による):主題となる人物像のポーズの変更だけでなく、画面の周辺部のモティーフ(壁面の装飾、画中画、家具、食器、人物、動物等)や、サイン、献辞等の変更、加筆、消去が認められる。絵具は塗り重ねられるだけでなく、《バルセロナの屋根》(1903年、IX.2)〔図4〕では、掻き取られた痕跡が報告されている。《肘をつくアルルカン》(1901年、VI.22)と、《セバスティア・ジュニエル・ビダルの肖像》(1903年、IX.21)〔図6〕では、テーブルに置かれたモティーフなどは、比較的厚塗りで描写されたため、それらが複数回変更された痕跡は、表層とは異なる下層の様相を隠すことなく、画肌に複雑な起伏をもたらしている。Ⅱ-3.他者の介入による変更《ソレール家の人々》(1903年、IX.23)は、ピカソが友人の家族の肖像を描いた作品であり、近年、リエージュ美術館のチームが研究を実施した。ピカソは本作品の背景の仕上げに関心を失い制作を中断したため、ピカソの友人セバスティア・ジュニエル・ビダルが画面の背景を自己流に描いた。その後、ピカソがキュビスムの画法で背

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