鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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― 339 ―― 339 ―■第10回・第11回展観第10回・第11回展観は新聞記事を未確認のため、会期不明。■第12回展観会 期: 大正2年(1913)5月2日(金)~11日(日)(10日間) 午前9時~午後4時第12回展観は前年に逝去した川崎正蔵の追福のため開催された。多数の来館者が生前の川崎正蔵を偲んだことが伝えられている(注18)。今回、高橋是清大蔵大臣が川崎美術館に来館したことが判明した(注19)。■第13回展観会 期:大正7年(1918)11月1日(金)~3日(日)第13回展観は川崎正蔵七回忌に際して、追福記念として開催された。現在確認するかぎりでは、川崎美術館最後の展観である。この展観の詳細は『國華』に掲載されているが(注20)、新たに新聞記事も確認した(注21)。「故翁が蒐集愛玩せし優秀なる書画珍什の美術品を陳列」し、「京阪神東京其他の紳士知友等を招待」して観覧に供したことが判明した。2.陳列品目録からたどる川崎美術館の活動川崎美術館では第1回以来、陳列品目録を発行して来館者に配布していたようで、現存を確認しているのは第8回(兵庫県立図書館蔵)、第9回(島根大学附属図書館[桑原文庫]蔵)、第12回(池田文庫[小林家文庫]蔵)、第13回(個人蔵)の4回分である。前稿で第8回については調査済みであり、今回は第9回・第12回・第13回の調査を実施した。■『川崎美術館第九回陳列品目録』(島根大学附属図書館[桑原文庫]蔵)明治34年(1901)以降 1冊 18.5×12.4cm 全62頁(正誤表あり)表紙に「川崎美術館第九回陳列品目録」と印刷され、右下に「桑原蔵書」の墨書がある。第8回目録と同じく、川崎美術館の各室・各所(①美術館玄関(88点)、②大書院床之間(27点)、③上之間(9点)、④広間(86点)、⑤三之間(41点)、⑥東入側(126点)、⑦西入側(右側)(33点)、⑧仏間(70点)、⑨西入側(左側)(91点)、⑩階段壁上(1点)、⑪階段上り口(7点)、⑫楼上上段床之間・違棚(9点)、⑬楼上上

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