鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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― 340 ―― 340 ―■ 『川崎美術館第拾貳回陳列品目録 為徳光院殿豁堂惠然大居士追福開館』(池田文庫[小林家文庫]蔵)大正2年(1913)5月 1冊 18.7×12.8cm 全60頁(正誤表あり)神戸新聞社印刷部印行「徳光院殿豁堂惠然大居士」とは川崎正蔵の居士号であり、一周忌追善展観の様相を伝えてくれる。川崎美術館では①美術館玄関(97点)、②大書院床之間(17点)、③上之間(17点)、④広間(99点)、⑤三之間(44点)、⑥東入側(138点)、⑦西入側(45点)、⑧仏間(56点)、⑨階段壁上(1点)、⑩階段上り口(4点)、⑪楼上上段床之間・違棚(9点)、⑫楼上上段之間(2点)、⑬楼上広間・床之間(117点)、⑭松楓庵茶室[遺墨跡](4点)、⑮煎茶席・茶具(36点)、⑯抹茶席(17点)の展観が、第9回より使用された長春閣では、⑰書院床之間(6点)、⑱広間(10点)、⑲南天ノ間(10点)の展観が記載されている。以上、第12回では川崎美術館、長春閣あわせて729点が展示されていた。なお、2階(楼上)上段之間には円山応挙「雪景山水図襖」(東京国立博物館蔵)が使用されていたが、目録には掲載されていない。■ 『川崎美術館第拾参回陳列品目録 為徳光院殿豁堂恵然大居士第七回忌追福開館』(個人蔵)大正7年(1918)11月 1冊 19.1×12.8cm 全54頁今回の調査の中で新たに発見された目録。川崎正蔵七回忌に開催された第13回展観段之間(7点)、⑭楼上広間・床之間(69点)、⑮煎茶席・茶具(33点)、⑯抹茶席・生花白椿(20点))での陳列品を列挙する。一方、第8回目録は巻頭に「川崎美術館」「長春閣」及び「宝玉七宝」(美術館玄関に陳列)の紙焼き写真3枚があるが、第9回目録は写真が一切掲載されていない。また、第8回は概ねB4判横(26.0×38.5cm)に対して、第9回は概ねB5判縦(18.5×12.4cm)と小型である。第8回は表紙・本紙ともかなり厚みのある紙を用いるのに対して、第9回は簡素な薄い紙に印刷している。これらの差異は、第8回展観が皇太子行啓に際してのものであり、長春閣の座敷開きであったゆえであろう。第9回目録には長春閣の陳列状況(⑰上之間(7点)、⑱次之間(7点)、⑲南天之間(10点)、⑳三之間(8点))も掲載されている。以上、第9回では川崎美術館、長春閣あわせて749点が展示されていた。なお、2階(楼上)上段之間には円山応挙「雪景山水図襖」(東京国立博物館蔵)が使用されていたが、目録には掲載されていない。

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