鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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― 341 ―― 341 ―は、現状では川崎美術館の最後の陳列である。川崎美術館では①美術館玄関(104点)、②大書院[床・床飾・展観](37点)、③広間[展観・陳列棚](56点)、④三之間[展観・陳列棚](50点)、⑤東入側(106点)、⑥西棚飾(30点)、⑦仏間(16点)、⑧階段(1点)、⑨階段上り口(3点)、⑩楼上上段床之間・違棚(10点)、⑪楼上上段ノ間(4点)、⑫楼上広間[展観・陳列棚之部](88点)、⑬松楓庵茶室[遺墨席](4点)、⑭煎茶席・茶具(37点)、⑮薄茶席(16点)の展観が、長春閣では⑯書院床之間(6点)、⑰広間(12点)、⑱南天間(10点)の展観が記載されている。以上、第13回では川崎美術館、長春閣あわせて590点が展示されていた。なお、この目録では美術館で使用された応挙の旧帰雲院障壁画が一切記載されていない。障壁画自体は美術館で使われていたものと思われるが、記載されなかった理由は不明である。また、第13回では美術館広間にて円山応挙の作品を、三之間で狩野探幽の作品を特集展示していた。応挙、探幽の収集家として世に名高かった川崎正蔵の蒐集を示すものといえる(注22)。3.神戸川崎男爵家コレクションの作品調査神戸川崎男爵家の旧蔵品は豪華図録『長春閣鑑賞』(大正3年)及び二度の売立目録(『神戸川崎男爵家蔵品入札目録』(昭和3年)、『長春閣蔵品展観図録』(昭和11年・同13年再刊))から図版、作品名、作者名等が判明する。重複を含めて約1,000点が掲載されているが、現存を確認しているのは230点(重複含む)である。今回は以下の作品・資料について調査が許された。・円山応挙筆「旧帰雲院障壁画」(東京国立博物館蔵) 32面、2曲3双、1幅  上之間:「月夜浮舟図襖」(4面)「江頭月夜図襖」(4面)  広間:「海辺老松図襖」(12面)  三之間:「江岸楊柳図襖」(8面)「江岸楊柳図屏風」(2曲3双)  楼上上段之間:「雪景山水図襖」(4面)※旧帰雲院壁貼付か:「雪景山水図」(1幅)・松花堂昭乗筆「布袋図」(京都国立博物館蔵) 1幅・狩野探幽筆「浄土五祖図巻(探幽縮図)」(京都国立博物館蔵) 1巻・宣宗筆「麝香猫図」(個人蔵) 1幅・『川崎美術館第九回陳列品目録』(島根大学附属図書館[桑原文庫]蔵) 1冊・ 『川崎美術館第拾貳回陳列品目録 為徳光院殿豁堂惠然大居士追福開館』(池田

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