図版出典図1、5、7-10:著者撮影。図2:Photograph © Polo Museale Fiorentino.図3、4:C. de Tolnay, Corpus dei disegni di Michelangelo, I - IV, Novara, 1975-1980.図6:Web Gallery of Art (www.wga.hu).― 390 ―― 390 ― サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ聖堂の《キリスト》は、壁龕に設置されて視点が限定される彫像でありながら強いねじれを有している。これにより、肉体のさまざまな部分を提示するだけでなく、トルソを横切る腕により身体を多層化させ、奥行きの感覚を増幅させる効果をもたらしている。新倉(2012)、前掲書、pp. 55-56。 またミケランジェロは《サムソンとペリシテ人》において多視点性を実現するために、ねじれだけでなく人物像同士の構図についても注意を払っている。注⒄参照。これにより観面が結び付けられることになるが、《ヘラクレスとカクス》においてヘラクレスの右腿に載せられたカクスの左腕に、そうした着想の萌芽を見て取ることができる。たバンディネッリの彫像は、共和派に対するクレメンス7世の苛烈な姿勢の表明であると解釈することができる。
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