鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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前涼王朝に龍・鷲(『御覧』巻9風引『十六国春秋』)、張軌に張掖の玄石図(『晋書』張軌伝ほか注11)・白魚(『御覧』巻935魚引『十六国春秋』前涼録)・嘉麥一莖九穂(『御覧』巻838麥引『十六国春秋』前涼録)、張駿に黄龍(『晋書』張軌伝)・天麥(『御覧』巻838麥引『十図六国春秋』前涼録)等。 明楊慎「異魚図讃・四巻」に対し、『四庫提要』では「效郭璞・張駿之贊體」であるとするように(『四庫全書』電子版)、通史的に見ても歴代の「異魚図讃」の代表的作者は郭璞・張駿であった、と言って良い。『道藏』本『山海経図讃』には張駿の飛魚の讃が残る。― 523 ―― 523 ― 拙稿「平昌五輪に現れた人面鳥の正体は─『山海経』の異形と中華のキワ」『アジア遊学』 甘粛出土の彩陶器に多い人面の鯢魚図〔図7〕と仰韶文明(馬家窯文化)の鯢魚トーテム信仰 郭璞『山海経』注及び『山海経図讃』では九尾狐・吉量・水馬・兕・白虎など『山海経』古来 前涼張氏は儒教を奉じる一方(晋書・張軌伝)、佛爺廟湾古墓群出土の晋~十六国鎭墓瓶にはを可能とする軒轅時代の西北(沙海)の飛魚の記述がある。「仙人甯封食飛魚而死二百年更生。故甯先生「遊沙海七言頌」云:青蕖灼爍千載舒、百齡暫死餌飛魚、則此花此魚也。」239、2019年。の関わりは『中国魚文化』第1章「遠古彩陶魚文」三「鯢魚紋彩陶瓶」参照。の異獣が、東晋王朝を寿ぐ天人相関の瑞獣に詠み替えられる。神仙道教の影響が指摘される(関尾2011)。

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