― 616 ―― 616 ―第2面「紫磨金尊容/秋月雲無/无数光明新/国家普明」(補説)第3面(上から順。『六時讃』では③→②→①の順。)① 「善哉汝等衆/隨順如来故/永離[穢悪土]/[往生安楽国]」(補説)② 「敬禮天人大覚尊/恒沙福智皆圓満/因縁果満成正覚/住壽凝然無去来」(補説)③ 「往昔在於娑婆国/遙聞大士大[名稱]/今見清浄[功徳身]/是故一心[帰命禮]」(補説)晨朝讃では阿弥陀聖衆の来迎をうけ極楽往生した菩薩たちが、まずは諸々の仏国土を詣で様々な仏菩薩と対面することを述べる。そしてその補説では阿弥陀浄土の朝の情景、そして他方浄土の具体的な様子を説く。第1面は、上方に色紙形どおり、薬師瑠璃光浄土において楼閣内に坐す薬師如来を表し、前方に日光月光の二菩薩、その周辺にここを訪れた菩薩衆が表される〔図1〕。色紙形を挟んで下方へ目を転じると、楼閣が左右千鳥に配され、様々な浄土で楼閣内の仏菩薩と対面し、合掌礼拝する菩薩衆が表されている。仏菩薩は特徴が少なく、尊格の比定ができない。第2面は色紙形のある中央付近に六角の楼閣、さらにその左右にも楼閣が表される。上方には17もの飛天が右方向へ蓮弁を手にするなどして飛び、下方では楼閣から外に出て蓮弁を集める菩薩衆の姿が描かれる。中央の楼閣に座すのは、色紙形の通り、金色の阿弥陀如来の尊容であり、多数の菩薩衆がここに集う。阿弥陀の印相は不明瞭だが腹前で両手を合わせる定印とみられる。この面の描写は晨朝補説に語られる早朝の極楽の情景を典拠とすると考えられる。すなわち、朝になり菩薩衆が瞑想状態を離れると、天の奏楽が聞こえ天空からは蓮花が降りそそぐ。菩薩衆は黄金瑠璃の庭に出て、蓮弁を集め、まずは阿弥陀如来の御前に参り供養をし、続いて十方諸仏の供養に出掛けるという。第3面は、晨朝補説の続きを表す。他方浄土を訪ねた菩薩たちは、様々な仏菩薩に会うが、晨朝補説では、歓喜国(妙喜国か)において香象・白香象大士と対面し、さらに阿閦如来に参じるという。画面を見ると、中央に正面向きの楼閣があり、拱手の如来形が座っている。その脇の色紙形には、阿閦如来と、その浄土を訪ねた菩薩衆との問答の偈頌(①)が記され、また、楼閣手前で膝をつき、楼閣中の如来を礼拝する菩薩近くの色紙形には、阿閦如来を前に五体投地し礼拝する菩薩が仏を讃じた偈頌(②)が記されている。つまりここには、極楽浄土から訪れ、阿閦如来を礼拝する菩薩衆が表されている。下方には蓮池があり、樹間を菩薩衆が歩くが、色紙形付近には菩薩に向かい五体投
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