鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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③ セザンヌ芸術の展開にジャズ・ド・ブッファンのセザンヌ家旧邸を中心とするエク― 646 ―― 646 ―ス・アン・プロヴァンスの環境がもたらした創造的作用に関する研究期   間:2019年9月11日~9月25日(15日間)派 遣 国:フランス共和国報 告 者:京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系 准教授  永 井 隆 則2019年9月21日、フランス、エクス・アン・プロヴァンス市(以下、エクスと略記する)は、市所有のジャズ・ド・ブッファン(以下、ジャズと略記する)のセザンヌ家旧邸を改造して「セザンヌ研究・資料センター(Le Centre Cézannien de recherche et de documentation)」を開設した。その目的は、セザンヌに関する様々な資料を持続的に収集保管すると共に、展覧会、講演会、シンポジウムを開催して世界のセザンヌ研究者が集い交流する国際的研究拠点を形成することにある。開設の記念事業の一環として、ポール・セザンヌ協会(Société Paul Cézanne)が、エクス市の協力を得てシンポジウム「セザンヌとジャズ・ド・ブッファン」を開催することとなり、報告者も本シンポジウムに参加を要請された。報告者は、既に、フランス近代美術の展開に<場所>(土地や建物)が創造的触媒、創造のエンジンとして働いたという仮説のもと、複数の日本人研究者と共に『<場所>で読み解くフランス近代美術』(2016年10月31日、三元社)を刊行し、クールベ、ピサロ、セザンヌ、ゴーギャン、レジェ、マティスを例に挙げて、それぞれの画家がそれぞれの制作した場所からどのような創造的着想を得たかを問うたが、この度、助成を受けた海外研究は、セザンヌに焦点を絞って本テーマを掘り下げていこうとするものであった。以下の日程で研究活動を行った:2019年9月11日 関空発─パリ着2019年9月12、13日 オルセー美術館資料室で当該研究に関する文献の収集2019年9月14、15日 オルセー美術館所蔵のセザンヌ作品、ポンピドゥー・センターの国立近代美術館で開催中の「先史時代、近代の謎」展に出品中のセザンヌ作品を調査2019年9月16日 パリ─アルル移動日2019年9月17日、18日 アルルで、サン=トロフィーム教会とゴッホの描いた場所に

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