― 658 ―― 658 ―2.2018年度助成⑴会議開催①第25回 ICOM京都大会2019ICOM京都大会と今後の我が国の博物館はじめに期 間:2019年9月1日~9月7日(7日間)主 催 者:ICOM、ICOM日本委員会、ICOM京都大会2019組織委員会、日本学術会議会 場:国立京都国際会館(メイン会場)ほか報 告 者:ICOM京都大会2019組織委員会 委員長 佐々木 丞 平2019年9月1日から7日にかけて、ICOM(国際博物館会議)京都大会が開催され、120の国と地域から過去最多となる4,590人の参加を得て、成功裡に終了した。本稿では、ICOM京都大会全体を振り返り、今後の我が国の博物館の展望について述べることとしたい。1.大会テーマICOM京都大会の全体テーマは、「Museums as Cultural Hubs : The Future of Tradition(文化をつなぐミュージアム─伝統を未来へ─)」であった。より具体的なキーワードで表すならば、sustainability(持続可能性)、diversity(多様性)、inclusion(包括性)などが挙げられよう。これらのテーマは、既に欧米の博物館界では数年前から盛んに取り上げられているが、我が国ではようやく最近になって議論されるようになったと言っていい。ICOMは、2018年9月に持続可能性のワーキンググループ(Working Group on Sustainability)を設置したが、これを立ち上げた理由は、SDGs及びパリ協定(2015年12月に採択された2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組)によって提起された持続可能性の課題に博物館関係者としてどのように取り組んでいけるかをICOM全体の問題として捉えていこうと考えたためである。既に2017年11月に日本科学未来館で開催された世界科学館サミット(Science Centre World Summit)が「世界をつなぐ-持続可能な未来に向かって(Connecting the World for a Sustainable Future)」をテーマとしており、SDGsの達成に向け科学館が活動を推進していくため
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