― 659 ―― 659 ―の行動指針「東京プロトコール(Tokyo Protocol)」を取りまとめたが、同サミットにスアイ・アクソイ(Suay Aksoy) ICOM会長が出席し、ICOM京都大会でも持続可能性を議論したプレナリー・セッションに毛利衛館長が登壇したのも当然の成り行きであった。これら二つの重要な会議が日本で開催されたのは、意義深いことである。2.参加者数もう一つは、30の国際委員会の会議ほぼすべてに日本から担当者が参加し、関連した国際会議等でも積極的にICOM京都大会をアピールした成果だと考えられる。ネット社会におけるフェイス・トゥー・フェイスによる交流の重要性を筆者自身が強く認識している。そして最後に、残念ながら合意形成には至らなかったが、ICOM規約に定める “Museum” の定義の見直しが話題となり、直接意見を述べたい会員が積極的に大会に参加したということも挙げられよう。日本から大会参加者全体の41%に当たる1,866人が参加し、100人以上が講演、発表等を行ったことも大きい。なにしろ、日本、中国、台湾をはじめアジア諸国で参加者全体の55%を占めたことは、アジアで3回目に開催した大会としての使命を十分に果たしたと言えるのではないだろうか。とりわけ多数の日本からの参加は、同時通訳の導入に努めたとはいえ、大学や行政関係者など会員以外の参加も多く、今後ICOM会員の裾野を拡大する意味でも画期的なことであった。言葉の壁は依然として大きいのは事実だが、かつては必ず通訳を引き連れていた国の参加者も、最近では流暢に英語を話す若手・中堅の参加者が増えてきている。今後、日本の博物館関係者も国際的に活躍できる人材の育成を進め、積極的にICOMのみならず様々な国際会議で発表し、その存在感を強化していくことを期待したいと思う。ICOM京都大会の参加者総数が過去最多となった要因はいくつか考えられるが、まずはやはり開催都市である京都の魅力であろう。アメリカの大手旅行雑誌「Travel+Leisure」の読者投票による「人気観光都市ランキング(The World's Best City)」で常にベスト10入りしており、世界一に輝いたこともある京都は、博物館関係者にとっても訪れたい魅力的な都市なのだろう。大会参加者のアンケート調査の結果、エクスカーションの満足度が一番高い評価を得たが、ソーシャル・イベントを含め、開催地である京都府、京都市が見事にその期待に応えてくれたと言っていいだろう。改めて感謝の意を申し上げたい。
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