鹿島美術研究 年報第37号別冊(2020)
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1.2019年度(1)調査概要ア ン・ニシムラ・モース、■惟雄編『ボストン美術館日本美術調査図録:第1次調査ア ン・ニシムラ・モース、■惟雄編『ボストン美術館日本美術調査図録:第2次調査/江戸時代狩野派/土佐・住吉・復古大和絵派/肉筆浮世絵/曾我蕭白・伊藤若冲/近代』(講談社、2003年)期   間:2019年9月15日〜29日(15日間)    派 遣 国:アメリカ合衆国 報 告 者:東京大学大学院 人文社会系研究科 准教授  髙 岸   輝神奈川県立金沢文庫 主任学芸員       梅 沢   恵ボストン美術館に所蔵される日本美術作品は、質・量ともに国外で最も充実したものである。同美術館の悉皆的調査は、鹿島美術財団の助成によって長期にわたって継続されてきており、その成果は、次の二冊の調査図録に示されている。/仏画/仏像/仏具/袈裟/能面/水墨画/初期狩野派/琳派』(講談社、1997年)上記の調査図録刊行後も、第3次調査として、残る分野の調査が継続されてきたが、その成果はいまだ刊行されていない。今回は、調査未了の絵巻に関し、悉皆的な熟覧による調書作成が目的である。調査に関わる事前準備として、髙岸・梅沢とボストン美術館のアン・ニシムラ・モース氏・竹崎宏基氏の間で熟覧の方法や調書の記入方針などについて綿密な打ち合わせを行い、2019年9月15日(日)に先発した髙岸がボストン入りした。第一週(9月16日(月)〜20日(金))はモース氏・竹崎氏の立会いのもと髙岸が調査を進め、第二週(9月23日(月)〜27日(金))には梅沢が合流した。(第二週は鹿島美術財団事務局長の皆川氏も全調査に立会った。)現地で確認したところ、総計166巻の絵巻の存在が明らかとなり、これらを調査対― 663 ―― 663 ―Ⅲ.「美術普及振興」研究報告①ボストン美術館所蔵日本美術品調査図録刊行

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