― 69 ―― 69 ―た。そのうえで、これらの作品の情報を〈倣古図〉〈雑画巻・雑画帖〉〈模本〉のカテゴリー順に整理し、制作年代、作品同士の関係性等を考慮して、各作品に管理名称・番号を付した。次に、管理番号順に全ての作品情報を入力し、検索項目を統一した統合データを、「上」階層として作成した。それによって、個々の作品の情報は「下」階層に集約され、「上」階層においては、〈倣古図〉と〈雑画巻・雑画帖〉、〈模本〉間の同図様の関係や、各ジャンルにおける図様の展開が分析できるようになった。データベースに入力する作品の情報に関しては、倣古図のみならず、倣古図と関係の深い雑画巻・雑画帖や模本も幅広く収集した。なお、模本においては、一括して伝来する膨大な資料のなかで、倣古図と関連するものは一部ということが多く、その場合、一括資料から倣古図と関連のある作品のみを選び出して情報を入力した。また、従来、真作と見なし難い作品は、基本的に入力対象から除外してきたが、それらの作品も、倣古図様式の展開や図様の伝播を捉えるうえで貴重な情報を含むものとして、取捨選択のうえ、データベースに入力した。実際の入力作業では、以前のデータベースが抱えていた、検索項目が少なく、作品によって入力する情報量に多寡の差が生じる、検索しづらいといった問題点を解消するため、「筆者名」「倣った画家名」「画題名」等、10項目に分けて作品の情報をデータ化し、入力名称を統一することで、検索機能の向上を目指した。例えば、画中に「太年」/「趙大年」と記されていた場合、「倣った画家名」には「趙令穣」で統一して入力し、「倣った画家名(画中表記)」の項目には画中の表記通り入力することで、趙令穣に倣って描かれた作品の一括検索や表記方法の異同の分析を可能にした。また、検索上の利便性を追究するため、さまざまな筆者名、画題名を入力していた「筆者名」や「画題名」の入力情報を整理し、同一筆者や同一画題の入力名称の統一に努めた。今回のデータベース改良で最も注力したのが、各作品の詳細なデータの入力である。例えば、入力点数が大幅に増加した模本においては、実際の筆者と参照した作品の筆者名(重模本の場合は一次模本の筆者名となる)、原本の筆者名が異なる事例が多いため、項目数を増やし、それぞれの情報を細分化して入力することで、雑画帖や倣古図との比較分析を可能にした。また、従来、備考欄に記載していた落款、印章、留書などの情報、同図様の作品情報などを項目別に入力し、それを統合データに反映した。そして、「同図様の作品」の項目は「管理番号(名称)」と「作品内の順番」に分けて入力することで、検索によって関連のある図様を一覧できるようにした。例えば、統合データで管理番号「探3」=「学古図帖」を検索すると、全2648図の中から「学古図帖」の図様を用いた作品の一覧が作成され、さらには、作品内の順番「9」
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