鹿島美術研究 年報第38号別冊(2021)
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注⑴MoMA HP, The Museum of Modern Art Exhibition Records 1960-1969 in The Museum of Modern ArtArchives, Department of Film 1935-present. (https://www.moma.org/research-and-learning/archives/finding-aids/MoMAExhFiles1960sf、2021年11月19日閲覧)⑶バーの経歴についてはSibil Gordon Kantor, Alfred H. Barr, Jr. and the Intellectual Origins of the⑻北野圭介「夢見るハリウッド」『新版 ハリウッド100年史講義』平凡社、87頁。ローレンス・W・⑵MoMA HP, Collection Media & Performance Department. (https://www.moma.org/collection/about/curatorial-departments/media-performance、2021年11月16日閲覧)Museum of Modern Art, Massachusetts: The MIT Press, 2002を参照した。⑷Austin Porter and Sandra Zalman (ed.), “The First Twenty Years at MoMA,” Modern in the Making,MoMA and the Modern Experiment, 1929-1949, New York: Bloomsbury, 2020, p. 4.⑸Phylis Freemaned, ed., Defining Modern Art Selected Writings of Alfred H. Barr, Jr., “A New ArtMuseum,” New York: Harry N. Abrams, 1986, p. 70.⑹Press Release for “Publicity for Organization of Museum,” August, 1929, The Museum of Modern ArtArchives, New York.⑺Alfred Barr Jr., “Notes on Departmental Expansion of the Museum,” 1932, Archives Pamphlet Files:AHBⅡC13. The Museum of Modern Art Archives, New York.ていることから、来館者のうち3人に1人程度はフィルムライブラリーでの上映に参加していたことになり、多くの人が出入りする開かれた、また求められる場所となっていたといえる。このように、フィルムライブラリーは展覧会として公開、および上映会の開催、またさらに上演プログラムの巡回を行うことで多種多様な映像を普及させることに努めていった。MoMAにおけるこのような活動は映画の芸術としての評価を高めるという理念のもとに行われており、映画を単なる娯楽ではなく、美的に鑑賞するという視点を共有することに貢献していったといえるだろう。おわりに 今後の課題としてここまで、MoMAにおけるフィルムライブラリーの展開を見てきた。現在、新たな芸術形態を受け入れているメディア&パフォーマンス部門の発端である、このフィルムライブラリーにおいても、当時映像はもっとも新しい芸術として受け入れられていた。映像はタイムベースドアートとして、時間軸を持つ作品のもっとも古いカテゴリーのひとつである。今回の調査ではMoMAにおける初期の活動を扱うことに留まったが、引き続きタイムベースドアートについての美術館での収蔵、およびその展開について、さらなる調査を進めていくことを今後の課題としたい。― 247 ―― 247 ―

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