する。茎が分岐し、それぞれ山と谷を構成して末端が巻き込むために、切り込みを入れた楕円形を重ねたように見える。Ⅱ型の例は、第25・26・65・78・98窟龕にとどまる。これらのうち、第78龕右壁坐仏頭光、第98龕右脇侍頭光の例が比較的鮮明であり、形状の酷似することが確認できる〔図3〕。波状Ⅲ型は、前述のように、波状の茎を貫通して山と谷を作り、半パルメットを配する。第17・23・24・26・36・54・60・62・65・69・87・90・94・98・101・120・121・126・132・142・175窟龕にその例が見られる。前述したように、平行する2枚が重なり合う双葉形と、1枚にとどまる単葉形とがあるなかで、残存状態のよい例をそれぞれ掲げておいた〔図4〕。Ⅰ・Ⅱ型の場合よりも多くの窟内で用いられる。本尊・脇侍・弟子に広く亘っており、頭光・身光のいずれにも描かれることが知られる。なお、波状唐草に1例にとどまるが、7-8葉の全形パルメット例があり、第54龕左右壁脇侍の頭光でそれを確認することができる〔図4〕。これら脇侍の頭光は鮮やかな赤系で連珠文を施し、全形パルメットを囲んでいる。周囲に飛天を描いたことが、かすかに残る形姿から窺い知られる。全形パルメットを囲む赤系連珠文は上層に属し、飛天を描いた下層と区別される点からみて、この1例は様式2に帰属することが察せられる。波状唐草は上述したように、ことごとく様式2であった。ここで改めて3類型の各例を列挙して総括に替えたい。様式2: Ⅰ型: 5・20・22・26・27・36・65・70・71・83・88・90・94・98・113・121・126・140・141 Ⅱ型:5・25・26・65・78・98 Ⅲ型: 17・23・24・26・36・54・60・62・65・69・87・90・94・98・101・120・121・126・132・142・175並列唐草並列唐草は前述のように、半パルメット並列唐草と、蓮華円花文をめぐるパルメット並列文とに分けられる。半パルメット並列唐草が見られるのは、第23・80・90・101・112・114・115・128・148窟龕である。描出箇所は坐仏・脇侍・影塑であり、第112窟例のみ左右壁龕の楣に施す。坐仏で視認された例は、第23窟本尊頭光、第101窟左壁坐仏頭光・右壁坐仏身光、第115窟本尊身光、第128窟左龕坐仏頭光、第148窟本尊頭光と身光で、脇― 367 ―― 367 ―
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