鎮らが携わったと伝えられる。彼らも造仏に秀でた僧侶であったと考えられる。⑾(〈 〉内は割書き、傍線部筆者)。中堂供養。〈六十四代円融院御宇天元三年庚辰九月三日。〉 (中略)中堂大仏師平興大法師。講堂大仏師普興大仏師。文殊楼大仏師成真法師。已上。為仏像修理。承平年中始置之。⑿浄土寺像の調査は2020年11月17日に行った。調査に際しては、郷司泰仁・東野鈴奈・中屋菜緒の各氏の多大なご協力を得た。撮影は岡田愛氏による。なお、作品の基本データは下記の通り。名称 天部形立像品質・構造 一木造。現状古色。面相部のみに漆箔を施し、着衣には宝相華文をあらわす。 木心を中央にこめた一材より彫出する。内刳りはなし。両手首より先は別材製。両足先(沓)は本体と共木とする。法量 像 高 106.5 髪際高 91.0 頂─顎 26.7 面 長 11.4 面 幅 10.5 面 奥 14.5 耳 張 13.8 臂 張 35.5(衣含む) 裾 張 26.0(底面25.1) 胸 奥(左)16.0 (右)15.5 腹 奥 19.9(衣含む) 足先開(内)5.1 (外)15.7 足枘径(現状)3.8 足枘長(現状)5.0保存状況 後補は、金銅製の宝冠・胸飾、左手首先、持物(蓮華)、面相部の漆箔、着衣部の彩色、足枘、台座・光背。⒀拙稿「藤原期の「比叡山仏所」をめぐる試論─大きな鼻をあらわす二軀の尊像を中心に─」(『京都学研究と文化史の視座』芙蓉書房、2019年)。⒁〔図4〕の図版を参照されると、3像の造形上酷似を認めることができる。⒂浄土寺像に関する主要文献は下記のとおり。岩田茂樹「作品解説 浄土寺天部形(伝聖観音)立像」(大津市歴史博物館編『大津の仏像─一千年の造形─』、1997年)40頁。上野良信「作品解説 浄土寺天部形立像」(滋賀県立琵琶湖文化館編『特別展 天上界のほとけたち─天部の諸尊─』、1998年)106頁。岩田茂樹「作品解説 浄土寺木造天部形立像」(大津市教育委員会編『大戸川ダム建設地域文化財調査報告書』、大津市、1999年)。松岡久美子「作品解説 浄土寺天部形立像」(栗東歴史民俗博物館編『「国― 384 ―― 384 ―
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