注⑴岡泰正『めがね絵新考』(筑摩書房、1992年)、岸文和『江戸の遠近法─浮絵の視覚─』(勁草書房、1994年)、野村文乃「歌川豊春による浮絵の画歴について」(『浮世絵芸術』(167)、国際浮世絵学会、2014年)、同氏「歌川豊春による浮絵の革新─その背景と意義に関する考察─」(『京都美学美術史学』(12)、京都美学美術史学研究会、2013年)など。⑵内藤正人「酒井抱一の浮世絵─杜綾・屠龍落款の天明期肉筆美人画について」(『國華』1191号、國華社、1995年)。⑶小林忠編著『肉筆浮世絵大観五太田記念美術館/北斎館/板橋区立美術館』(講談社、1996年)所収の巻末作品解説。⑷辻惟雄編著『ボストン美術館肉筆浮世絵Ⅱ』(講談社、2000年)所収の巻末作品解説。⑸『大英博物館肉筆浮世絵名品展』(千葉市美術館、福島県立美術館、名古屋市立博物館、1996年)所収の歌川豊春筆《桜花遊女図》のティモシー・クラーク氏の作品解説(伊藤紫織訳)を参考とした。⑹金沢康隆『江戸結髪史』(有限会社青蛙房、1961年)⑺小林忠『江戸浮世絵』(藝華書院、2009年)⑻拙稿「歌川豊春の研究(1)─その画業の特性と交友圏の関連について」(『大分県立美術館研究紀要』第1号、大分県立美術館、2017年)⑼注⑶前掲書。図録『ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵江戸の誘惑』(朝日新聞社、2006年)⑽小林忠編著『肉筆浮世絵大観四MOA美術館』(講談社、1997年)所収の巻末作品解説。今回の調査で所在が把握できた豊春の肉筆画は80点であった。落款形式にも注目することによって編年整理を進めることができたが、リストに示したとおり、豊春の用印にはある程度、年代の傾向がよみとれる。80点のうち47点については、様式的特徴と落款形式が足並みを揃える傾向が比較的に明確である。しかし、残りの33点については、未見の作品も多く、また例外的な用印のためにすっきりと整理・理解することも難しく、慎重にならざるを得ず、今後の検討課題として留めることになった。『浮世絵大成』(昭和6年、東方書院)などの古い書籍には、現在は所在不明ながら、充実作とみえる豊春の肉筆画が掲載されているが、今後そうした新出作品が現れる可能性も期待しつつ、より総合的な分析が可能となるように今後も調査研究を継続していきたい。― 519 ―― 519 ―
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